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後ろをてくてくと付いて来る子供。
よっぽど疲れているのか歩くスピードはものすごく遅い。
できるだけ合わせているものの店に着くにはまだ時間がかかりそうだ。
でも生魚買ってきちまったから早く店に帰りてぇんだよな…。
「なぁ、手繋いで歩くのとオレにだっこされるのどっちがいい?」
俯きながら歩いていた子供にから声をかけると、またあの不思議な色の目で俺を見つめ、おずおずと両腕を広げてぴょんっと背伸びをした。
「えっと…だっこか?」
こくりと静かに頷いた子供はまたぴょんっと背伸びをする。
脇の下に手をいれて抱き上げると思ったより軽い。
片手だけでだっこできる軽さだ。
食べ物もろくに与えられなかったんだろう。
こんなに細くて小さいのによくそんな酷い事ができるもんだな。
会ったこともない親にぽこりと怒りが湧くがどうしようもないので首にぎゅっと捕まっている子供を見る。
長い髪に隠れた顔は心なしか明るく口元も少し綻んでるように見えた。
忙しなく視線をキョロキョロと移している。
「楽しいか?」
できるだけ優しく問いかけるとハッとしてぽっと頬を染める。
赤い顔を髪で隠すように俯いてこくこくと何度も頷いた子供。
なんだか無性に可愛らしい。
小さい頃弟達の世話をしていた時もこんな気持ちになった気がする。
懐かしい感覚に笑をこぼしながらまだ照れている子供の頭を撫でた。
「なら良かった。もう少しで着くからもうちょっと待ってな。」
撫でられるのに慣れていないのかぴしっと体が固まる。
それでも撫で続けているとだんだんと体の力が抜けてぎこちなく手に擦り寄ってきた。
それから、これまたぎこちなく笑った。
何故かその下手くそな笑顔から目が離せなかった。
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