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店で使ってるホワイトボードを渡すとキュッキュッと音を立ててゆっくりと文字が綴られていく。
スピードのわりにふにゃふにゃしてて丸いちょっと読みにくい字。
書き終えるとホワイトボードを俺の方に向けてぺこりとお辞儀をした。
『よつばいいます』
「へぇ、よつばか。珍しい名前だな。」
四葉だからCLOVERだったのか。なるほど。
「で?お前の声が出ないのは生まれつき?」
またゆっくりと文字を書くよつば。
それをゆっくりと待つ俺。
『きづいたらでなかった』
「へー、理由は…わかんねぇよな。」
そう聞くとふるふると首を横に振った。
すると俺を写していた眼が途端に曇り、どこを見てるかわからなくなる。
虚ろな目のままキュッキュッと文字を綴る。
『きたないから』
ホワイトボードの文字を見た瞬間胸にずきんとした鈍い痛みが走った。
なんだ、これ。
自分でも理由がわからなくて、でも無表情のまま音も出さずに涙を流すよつばを見るだけで痛みが増していく。
よつばを見ないようにしても目の前に立ってるんだからどうしても視界に入ってしまう。
心臓がぎゅっとなって目の前のよつばを腕の中に隠す。
よつばが見えなくなるように。
よつばの涙が見えないように。
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