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洗面台の淵に座ったよつばは手足や顔が泡だらけで、床に下ろさずそのまま浴室に入れた方が良さそうだ。
「よつば、万歳して。」
言われたとおりによつばか両手を上げ、俺が服を脱がせると細っこい体が丸見えになる。
その細い体はやっぱり傷だらけで。
ちゃんと手当てと かした方がいいよな?
てかずっと虐待されてたんだから他に悪いところあるかもしれねぇ。
でも保険証もないし名前しかわからない子供を病院に連れていくことは出来ない。
幸い俺には医師免許を持った幼馴染みがいる。
そいつを後で呼ぼう。
背中にある大きな切り傷の跡をすっと指で撫でた。
傷は完全に塞がっていて皮膚がツルツルしている。
傷跡を触ってもよつばは案外無反応。
「なぁ、痛くねぇ?」
背中の傷跡を撫でながら問いかけると背中に視線を向けて驚いた顔をした。
気づいてなかったのか?
『さわられてるのよくわかんない』
鏡に書かれた文字に今度は俺が驚く。
感覚がねぇってことか?
俺も腕に切傷の跡があるけど触られる感覚は普通の皮膚に比べて少ないものの触られてるのはちゃんとわかる。
やっぱ診てもらった方がいいな。
傷を触るのをやめてよつばの服を全部脱がせ、抱き上げて浴室に降ろす。
棚から洗いたてのタオルを出して渡すと何故か体に巻き始めた。
「よつばー、それ巻くために渡したんじゃねぇぞ?」
自分の服を脱ぎながら声をかけると嫌々をされる。
いや、それ俺も使うからね?
まぁタオルくらいもう1枚出せるけどさ。
よつばの白い体に巻かれた白いタオルをちょいちょいと引っ張るとぺちんと手の甲を控えめに叩かれた。
そのままよつばはぺたりとタイルに座り込みタオルをぎゅっと握る。
「わかったよ、タオル巻きたいのな?」
両手を上げて降参のポーズをとるとこくこくと頷いたよつばが安心したようにタオルを握っていた手の力を弱める。
その様子をじーっと見ていると見るなと言いたいのか両目を手で抑えられる。
「はいはい、もう見ないって、じろじろ見て悪かった。」
そう謝りベルトを外しながら気づかれないように横目で様子を伺うと
タオルを少し捲って体にある傷を一通り見てから、悲しそうに顔を歪めた。
傷、見られたくなかったのか。
よつばの嫌がることをしてしまったと少し後悔する。
当たり前にコミュニケーションを取れない分こういったところにしっかり気を使わないといけない。
俺は声が出るからすぐ思ってる事を伝えれるけど声の出ないよつばは違う。
声が出ないと会話もできないから大変だけど、一番大変なのはやっぱり本人だ。
早く声を出させてやりたいと、強く思った。
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