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25 よつばside
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「お前…湯船も怖かったのか?」
櫻さんの悲しそうなお声が耳に響く。
その理由はわかってる。
僕が涙を溜めたまま櫻さんを見たから。
怖くて怖くて、そんな怖がりなことが情けなくなった僕は櫻さんを見上げた。
また、悲しそうなお顔にさせちゃった。
櫻さんは僕を楽しい気持ちにさせてくれるのに僕はさっきから櫻さんを悲しくしてばっかり。
僕は櫻さんに何もしてあげられないんだ。
こんなに優しくしてくれる櫻さんに何もお返しができないんだ。
お母さん、やっぱり僕は悪い子です。
お母さんが僕を嫌いなのもわかった気がする。
こんなに悪い子なんだ、嫌われて当たり前だよね。
櫻さんにも…嫌われちゃうかな。
それだけは
嫌だ。
悲しくて抱きつくと櫻さんも僕を抱きしめてくれて頭をなでなでしてくれる。
櫻さんのあったかい手が僕に触れると僕の心にもそのあったさが伝染ってぽかぽかになる不思議な手。
それに擦り寄ると櫻さんは急に僕の肩にお顔を乗せてまたぎゅっとしてきた。
「ごめん…。俺何もわかってなくてまたよつばに怖い思いさせちまった。ごめんな。」
耳元で聞こえる櫻さんの悲しそうなお声。
ちょっとだけ震えてる気がした。
泣いてるのかな?
何にも悪くないのに謝る櫻さん。
本当に泣き虫さんしてるの?
僕がなんとかしないと!
どうしよう?櫻さんならどうするかな?
櫻さんは僕が泣き虫さんした時何をしてくれたっけ?
頭をなでなでして、ぎゅーしてくれた。
今度は僕がする番だ!
櫻さん、泣き虫さんしないで。
僕は櫻さんの優しいお顔が大好きなの。
だから、また僕に優しく笑いかけて。
僕の肩に乗った頭を遠慮がちになでなでして、ぎゅーって力いっぱい抱きしめながらほっぺをぐりぐりする。
「よつば…」
櫻さんと目が合って、お胸がきゅっとなる。
目が少しだけ赤かった。やっぱり泣き虫さんしてたんだ!
眉毛にぎゅっと力を入れて櫻さんに僕がなんとかしてあげる!っお顔をする。
泣き虫さんしないで、悲しくならないで
謝らないで
櫻さんは何にも悪い事してないよ。
僕は櫻さんが優しくしてくれてとっても嬉しいんだよ。
だから
『ありがとう』
櫻さんみたいにはできないけど、頑張って僕なりの優しいお顔をしてみた。
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