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友達〜太陽side〜
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side:太陽
紗智は、俺の大切な友達だ。
俺が親衛隊に嫌がらせや暴行をされる度に、俺を守ってくれる。
その度に、紗智は何も悪くないのに、「総隊長の僕が親衛隊を統率できていないから」と俺に謝る。
それに最近は、生徒会長の龍樹や副会長の雪哉(ユキヤ)に俺に対する制裁の首謀者だと思われ、嫌われているらしい。
俺がちゃんと説明してやる、と言っても、紗智は、「親衛隊員の起こした問題は僕の責任だから」と頑なにそれを拒んだ。
紗智をなんとか助けてあげたい。
そう思っているのに、俺は紗智がどんどん傷ついていくのを黙って見ていることしか出来なかった。
ある朝、一人で教室へ向かっていると、階段を上ってすぐに親衛隊員と思われる数人の小柄な生徒達に囲まれた。
「生徒会の皆様に近づかないでって、前も言ったよね?」
「まだわかんないの??」
──別に俺から近づいた訳じゃないだろ……。
どう見たって、生徒会が一方的に俺に構っているだろう、と思うが、今までの経験から言っても無駄だと分かりきっている。
当たり障りのないことを言って逃げようとするが、なかなか解放してくれないどころか、さらに怒らせてしまったらしい。
遂に生徒の一人が俺に向かって殴りかかってきた。
それなりに喧嘩が強い自信はあるし、こんな小柄な奴に殴られても痛くも痒くもないけど、と思った瞬間、目の前に誰かが飛び込んできた。
「紗智!?」
──また、紗智に守られてしまった。
紗智を傷つけてしまった、と苦い思いがこみ上げてくるが、とりあえずお礼を言おうと口を開いた瞬間、紗智の体がぐらりと揺らいだ。
体が動かない。
紗智を、助けなきゃ。
紗智は、何度も俺を助けてくれた。
今度は俺が、紗智を助けなきゃいけないのに。
誰かの悲鳴で、我に返った。
階段の下に、紗智が倒れている。
その光景を見た途端、足の力が抜けて、その場に座り込んでしまった。
涙が、とめどなく頬を流れ落ちる。
俺のせいで、また紗智を傷つけてしまった。
今度は、命が危ないかもしれない。
紗智を、助けたかったのに。
紗智が落ちていくのを、ただ見ていることしかできなかった。
手を伸ばせば、きっと助けられたのに。
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