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記憶喪失〜龍樹side〜
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side:龍樹
「どちら様ですか?」
言葉が、出なかった。
まさか現実に、こんな事があるなんて。
「一種の記憶障害ですね。引き金となったのは頭部への衝撃ですが、主な原因はストレスだと思われます。
彼は最近ずっとストレスを抱えていて、階段から落下し意識が混濁した状態になった際に脳がストレスの原因となる記憶を失うことでストレスから逃れようとしたのでしょう。
頭部に損傷はありませんから、時間が経てば、あるいは何かの拍子に記憶を取り戻すかもしれません。」
遠方にいてすぐには来られないという両親の代わりに説明を聞くことになったのだが、医師が説明している間は、俺も太陽も一言も話せなかった。
記憶喪失、なんて映画みたいな事が目の前で起きているという実感が湧かなかった。
「それで、原因となっているストレスなんですが、……心当たりはございませんか?」
医師が、少し遠慮気味に尋ねた。
俺は黙って首を横に振ったが、太陽は苦い顔をして、俺の方を振り返った。
「龍樹、悪いけど、ちょっと出ててくれない?」
太陽は、何かを知っているのだろうか。
そもそも、どうして太陽がずっと篠宮の病室にいたのだろう。
太陽は、篠宮にいじめられていたはずなのに。
俺は、何か大切なことに気づいていないのか……?
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