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紗智の日記 11
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4月24日
龍樹様のところへ挨拶に行った。
龍樹様は、中等部の頃と違って、どうでもいい、というような無表情で僕の話を聞いていた。
やっぱり悲しかったけど、これから頑張らなくちゃ、と再確認した。
龍樹様のこんな顔、僕は見たくないから。
5月8日
こんな時期なのに、転校生が来た。
転校生、黒田太陽は、閉鎖的なこの学園の生徒とはかけ離れた価値観の持ち主だった。
新鮮だな、と思ってからふと、自分も入学当初はこの学園の独特の空気に戸惑っていた事を思い出した。
いつの間にか学園のに慣れきって、外の常識を忘れてしまていたらしい。
美形の多いこの学園で、いかにもオタク、という風貌の彼に風習を教えてくれる生徒はいなかったらしく、彼は親衛隊持ちの人気者たちに次々に話しかけていった。
そして話しかけられた方も、自分達を避ける他の生徒と違い普通に話しかけてくれる黒田太陽に惹かれているようだった。
もちろん、龍樹様も。
少し、いやかなり悲しかったけど、人を疑ってばかりだった龍樹様がやっと大切な人を見つけたんだから、二人の仲を応援しなくちゃ。
5月10日
放課後、たまたま通った体育館裏で、西園寺様の親衛隊員数人が黒田太陽を囲んで何かを叫んでいるところを目撃した。
これは制裁の始まりなのだろうか。
親衛隊持ちの生徒達から明らかな好意を向けられている黒田太陽の存在によって、ようやく収まってきた制裁はまた増えていくのだろう。
これからは、黒田太陽の周囲を特に警戒しなければいけない。
食堂でいきなりキスをするほどに好いている相手が傷つけられたら、きっと龍樹様も酷く傷つくから。
僕は絶対に、黒田太陽を守る。
5月15日
朝、黒田太陽の靴箱に生ゴミを詰め込んでいる生徒を発見した。
まるで姉の少女漫画にでてきた女子のいじめみたいだ、と少し呆れるが、制裁を放っておくわけにはいかない。
黒田太陽が登校してくる前に片づけておいた。
5月19日
放課後の見回り中、数人の親衛隊員が黒田太陽を取り囲んでいるところを発見した。
死角には、彼等に雇われた運動部の生徒と思われる大柄の生徒達がいる。
暴行を加えるつもりだ、と気づき、すぐに出ていって注意した。
運動部の生徒達に少し暴力を振るわれたが、親衛隊員達に「親衛隊から除名する」と言うとその場で泣き崩れてしまい、運動部の生徒達は帰っていった。
嫌な予感がしていたが、制裁が暴行にまで発展するとは。
これからはもっと注意して観察しなきゃ。
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