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胸の痛みと、本当の気持ち〜龍樹side〜
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side:龍樹
日記は7月13日──昨日の日付で終わっている。
篠宮がこんなに苦しんでいたなんて、日記を読むまで全然気づかなかった。
篠宮は必死に制裁を止めようとしていたのに、制裁に反対する生徒にまで嫌われていたなんて。
篠宮と太陽が友達になった事にも、気づかなかった。
どうせ篠宮が太陽を脅して仲が良いふりをさせているんだろう、とか、そんな風にばかり考えていた。
太陽の怪我を見た日、俺は篠宮の気持ちなんて考えもせずに、文句を言いまくった。
篠宮は、俺の言葉ひとつひとつに傷ついていたのに。
──「どんな時も、龍樹様の為に辛い気持ちを押し殺してきた」
──「龍樹様に嫌われたら生きていく気力が無くなってしまった」
篠宮は、俺が全てだったんだ。
俺のことを、ずっと見ていてくれたんだ。
昔からの仲間を自分の手で処罰しなきゃいけなくなっても、学園中が敵になっても、俺のために生きてきたんだ。
それなのに、俺は何も知らず、篠宮に全ての責任を押し付けて、暴言を吐いて。
篠宮の記憶を奪ったのは、他でもない、俺だ。
篠宮が隊長になった後、こいつは家柄じゃない俺自身を見てくれるかもしれない、と期待した。
そして姿を見せなくなっただけで、勝手に裏切られたと思いこんで。
篠宮は最初から俺を、俺だけを見てくれたんだって、
今になって、ようやく気づいた。
裏切られた、と勘違いした時と同じ、いや、それよりもずっと強く胸が痛んだ。
そうしてやっと、この痛みの理由──自分の本当の気持ちに気づいた。
──俺はあのときからずっと、
篠宮が好きだったんだ。
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