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涙
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唐突な俺の言葉にまだ理解が追いついていない様子の太陽に、矢継ぎ早に言葉を重ねる。
説明しながらも、日記の文──篠宮の心の叫びが頭をよぎり、俺は気づいたときには涙をボロボロとこぼしていた。
幼い頃から両親に何度も言われた「男がメソメソするな」という言葉を守って、物心がついてからは人前で泣いたことなど一度もなかったのに。
自分が泣いていることに自分自身も驚きながらも、「とりあえず俺の部屋に行こう」と言う太陽の言葉に従い篠宮の部屋を出た。
誰が通りかかるか分からない廊下で泣き顔を晒すなんて、
今が授業中じゃなければ考えられない。
そもそも、この年になって自分が泣く日が来るなんて思わなかったが。
そんな事を考えているうちに太陽の部屋に到着したらしく、前を歩いていた太陽が部屋のドアを開ける。
先に部屋に入っていった太陽に続き中へ足を踏み入れた瞬間、部屋から誰かが出てきて、そのままぶつかってしまった。
今は授業中だから誰もいないはずなのに、と不思議に思うが、すぐに太陽の同室者の名前を思い出し、俺は内心ため息をつきながら顔を上げた。
そこには、予想通りの人物が、
「……会長、なんで泣いてんだよ?」
ひどく驚いた顔で立っていた。
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