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伊集院先輩〜紗智side〜
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side:紗智
僕が記憶を失って、しばらくたった土曜日。
病室でぼんやり外を眺めていると、誰かがドアをノックする音が聞こえた。
看護師さんかな、と思いドアを開けると、そこに立っていたのは太陽と、彼と同じ制服を着た二人の青年。
その内の一人は、僕が倒れた日に病室に来た人だった。
その人を見た瞬間、あの日と同じように、胸の奥が痛んだ。
──僕はあの日よりずっと前から、この痛みを知っていたような気がする。
伊集院龍樹、と名乗ったその人は、優しい声で言った。
「無理して思い出さなくていい」
そして、そっと僕の頭を撫でた。
見上げると、彼はその声色とは裏腹に、涙をこらえているような、悲しそうな顔をしていた。
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