アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
強制的女装男子高校生の悲しい現実 と 自主的男装(腐)女子高校生の嬉しい現実
続・強制的女装男子高校生の逃亡と―― side 暖
-
真祈ちゃんが走り出したときに開け放ったままの引き戸から廊下に出てみると、廊下の片隅で鼻を必死で押さえ付けている、睡ちゃんを見付けた。
「やほー、『真祈ちゃんの女装姿で鼻血が出そうになっているのを廊下の片隅で鼻を必死に押さえ付けて防ごうとした』睡ちゃん。あ、あくまで、『過去形』っていうのがみそね」
「の、暖先輩、いたんですか。それ以前に、僕の今の状態を冷静に言わないで下さいよ、困ります。しかも、『最後の一言』って、僕の面子に関わりますし、止めてくださいよ......」
睡ちゃんはそう言いながら、こちらに、『あっ......』という顔を向け、『先輩の前での礼儀ではない』と思ったらしく反射的に鼻から手を離してしまう。
離してしまったため、指で塞き止められていた鼻血が、睡ちゃんの鼻から少しばかり垂れてしまい、私が『指を離して鼻血を垂らす、という見苦しい姿よりも、先輩の前での礼儀を損ねたとしても指を離さずにいた方が正しい』と思ってしまった。
これからは、『礼儀か体面かを優先させる選択肢』に気を付けて生きていこう。
「はい、ティッシュ」
「ありがとうございます、暖先輩」
顔を赤らめながら、私が差し出したティッシュを受け取り、素早く拭き取る。
鼻血は、もう止まったらしく、直ぐにティッシュを返し、鼻血の付いたティッシュを、鼻血が付いている場所を内側に折り込み、制服のポケットに仕舞う。
やっぱり、睡ちゃん丁寧だなぁ、少し抜けているけど。
「で、話を戻すんだけどさ。でも、睡ちゃんのことだから、どうせ合ってるんでしょ?」
「ええ......と、まぁ、そうなんですけど......」
「ほらぁ、睡ちゃん!!!!!!!!」
と、私は食いつき気味に睡ちゃんを『バカにしたように』言った。
――まぁ、興奮して少し大過ぎるぐらいに声が大きくなってしまったけど。
「止めてくださいよ、少しぐらいなら大声になるのは平気なんですが『どや顔』で言うのだけは」
迷惑そうに、睡ちゃんのぱっちりしたクリーム色の目を、『これでもか』ぐらいに目を細められながら、睡ちゃんに言われちゃった☆
「え、してないしてない」
「何言ってるんですか。暖先輩が人をバカにするときは、大抵『どや顔』じゃないですか」
「え、そうなの? ていうか、私そんなに人をバカにしてなくない?」
「どちらとも、自覚してなかったんですか......。はぁ」
ありゃ?
今私あからさまに、睡ちゃんに溜め息を吐かれた?
「まぁ、良いです、そんなに重要じゃないことは。で、暖先輩!!??」
重要じゃなかったんだ、今までのやり取り......。
「突然どうしたの、睡ちゃん?」
「アノ、真祈先輩の、あんなに愛らしい女装姿は何なんですか!?」
『睡ちゃん』の『ちゃん』のところで、さっきの私の食いつきよりも鋭い食いつきで睡ちゃんが言った――よりも、叫んだの方が正しいと言ってもいいぐらいの声量だった......。
「あぁうん......。あれね。睡ちゃんが鼻血を出した原因の、真祈ちゃんの女装ねー」
「そうですよ!!!!!! 何であんなに完璧に女装が出来るんですか!? しかも、『めがねッ娘女子高校生』!!!!???? 可愛過ぎますよ!!!!!!!!!! 暖先輩!!」
鼻血に反論しなくなったよ、認めちゃったよ、睡ちゃん!!
「でしょー。今回も私上手く出来たと思うんだよね~」
「はいっ」
「ていうか、どうして、睡ちゃん、真祈ちゃんがここにいるって分かったの? しかも、気配も足音も消してたのに、この教室の前で『わざと』させたし」
睡ちゃんが、キリッという雰囲気を漂わせる。
でも、さっきまで、鼻血を垂らしていた人だもんなぁ、しかも、自分――睡ちゃんの先輩の女装姿を見て。
「『それ』は、ですね。僕の『真祈先輩レーダー』が作動したというのがかあったら、ですよー」
「あぁー!! 別名『ホモォレーダー』か!」
「暖先輩、当たりです!! ――この話は、ここら辺でお開きにしましょうよ、暖先輩ー。もうそろそろ、真祈先輩を追い掛けませんか? ここで、結構話し込んでいて、もう真祈先輩が飛び出してから10分は余裕で過ぎてますよ。アノ、女装姿は結構危ないんじゃないですか?」
「うん、追い掛けようか、そろそろ。ま、どうせ、真祈ちゃんのことだから、テンプレ通りの『屋上』、でしょ」
「『屋上』は、当然あの人もいますよね。......はぁぁ、ライバルに会いたくはないなぁ」
――最近の真祈ちゃんの失敗や、真祈ちゃんの可愛いかったこととかの、解らない人にしか解らないという、私達にとって大切なことを語っていたら、あっという間に、真祈ちゃんがいる『屋上』と、私達がいる『校舎』を隔てている、たった一枚ののドアの前に着いてしまった。
――少しばかりの緊張が、私達の間に走る。
「さぁ、『屋上』に着いた訳なんですが、暖先輩、心の準備は良いですか」
「そんなの、睡ちゃん。私に聞くまでもないよ!! 勿論大丈夫、だよ!」
「分かりました。――では、開けますよ」
睡ちゃんが『屋上』のドアを勢いよく、――だが、音が鳴らないよう、静かに開け放った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 21