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「お前も寂しかったなぁ」
アデル。
君も僕と一緒だ。
1人は寂しいよな。
たくさん喋りたいことがあってもだれも聞いてくれないのは。
毎日を生きているのにその証がなに1つ刻まないなんて。
辛いんだ。
僕達は人間なんかより弱い生き物なんだ。
「アーネスト…お願い…わたしを…殺して?」
あの時のように純粋ではない。
あの時のように可憐ではない。
それでも僕は
「君は、こちらに堕ちても…美しんだね」
誰かのために涙を流す君がとても美しく思えた。
ルイの涙と君を重ねてしまうほどに君も美しい。
「アーネスト…私はね好きだったの…誰よりも愛してたの…裏切られた今でも…愛してるわ」
「うん」
「だから、会えないならまた…別の形で…会えたらいいなぁ…」
「うん」
「あなたの恋人はね…こんなところにいても綺麗で短時間しか操れなかったの…」
「ルイはそんな子なんだ」
「ふふっ…なんて可愛らしいのかしら」
「僕の方が年上だよ?」
「うん…うんっ…うんっ…!!」
「だから、僕は戸惑ったりなんかしない」
手が真っ赤だ。
上司の時みたいに記憶がなくなったりしない。
でも、僕は君が死ぬところを見たくなかったよ。
魔界で死ぬには魔界の者に傷つけられなければいけない。
身体は朽ち果て砂になる。
真っ黒な砂。
「これが君だなんて、見分けがつかなくなりそうだね」
最後にアデルの唇が動いたのを僕は見ていた。
それでも僕が手を止めることはしなかった。
せめてもの君への情けだったのかもしれないし、ルイを危険な目に合わせた復讐だったのかもしれない。
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