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やり直し 4
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「ねぇ、君ってば」
仕方なく一呼吸おいてから
振り返ると、
やっぱり杉山くんがいた。
「……メイドのみなちゃん、知らない?」
不安そうな顔で
真剣な目で
聞いてくるもんだから
知らないとは言えなかった。
「……みなちゃんなら、
多分もう帰りましたよ」
嘘をついてしまって
何となく気まずくなり
目を逸らした。
「……そう、ですか」
肩を落としてしまう杉山くん。
みなちゃんなんて、
最初からいないのに。
みなちゃんは、
僕なのに。
杉山くんには、
嘘つく理由なんてないけど、
みなちゃんじゃなくなったら
話してもらえないような気がして
みなちゃんが僕って知ったら
怒られるような
失望されるような気がして
「……ごめんなさい」
ぽろっと口から謝罪が漏れてしまった。
杉山くんは、え?とこぼれて僕を見る。
「あ、えっと、
なんか、期待に応えるようなこと言えなくて」
なんとか誤魔化すように
付け加えした。
「……別に、いいですよ。
俺が勝手に待ってただけですし」
なんだ。その事かと軽く笑って
照れくさそうに頬をかいている。
「そうなんですか……」
なんか話したいことでもあったのかな、
こんなに待っててくれたのに、
まあ、勝手に待たれてたとはいえ、
なんか残念だよね、
なんて思ったり。
そんなこと考えていると、
杉山くんが
「……送りますよ、良ければ」
なんて言ってきた。
「え、」
唐突な提案に驚いた。
「だって、ここまで待って
誰とも帰らないなんて
なんか悔しいですもん」
けろっとした笑顔で
そんなこと言うもんだから
僕まで少し笑ってしまった。
「じゃぁ、一緒に途中まで」
まぁ、途中までなら大丈夫だろうと思い、
その提案に乗った。
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