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必然的な出会い(小澤side)(修正済)
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俺は彼――蔵本湊を実は昔から知っていた。
きっと彼は覚えていないだろうが、
約二年前ほどに俺たちはすでに出会って
会話も二言ぐらいだが交わしていた。
その出会いは、
俺がやっと受験生として自覚した秋のことだ。
まわりはもう夏休みに受験を意識したらしく、
すでに過去問題を解き終えていた。
俺は少し出遅れて
秋の終わりにやっと意識したくらいだった。
さて、勉強を始めるかと
まずは過去問題集を捜しに書店へと向かう。
志望校なんてもの俺にはなかった。
なぜなら親ともども医者の家系で
俺は医者になれと両親から強いられ続けて
志望校なんてもの、
決めさせてもらえずに
ここにただ受かればいいと
言われていたからだ。
正直言って親の言うとおりにするのは
もう嫌だった。
なんだか自分が人形のような気になるからだ。言うこと聞くだけの
言われた事だけやるだけの操り人形。
俺は、物心ついたときから
親の操り人形だったのだ。
それを脱却できればいいと
ただひたすら願い続け始めたのは、
はて、いつごろのことだったろうか。
ふむと珍しく女を連れずに
書店内を歩きながら
とりあえず県立の過去問題集を探す。
その時、誰かにぶつかる。
ふざけるなと思いながらも、
俺はいつもの仮面をつける。
「うわ、ごめんねっ。君、大丈夫っ?」
手を貸しながらも、
相手が男だということに気付く。
女だと思って手を貸したのにと後悔しながらも女のような体格の彼は、
今にも泣きそうな顔で謝ってくる。
「ごめんなさいっ、僕!
あ、服、汚れてませんかっ!?」
そんな心配する彼の顔としぐさに
俺はイチコロで、
あまりにも簡単に名前も知らない彼に
恋に落ちてしまう。
「い、いや、大丈夫だよ。
あ、君の本、汚れてない?」
少々ときめいてしまっている自分に
驚きながらも、
彼が持っていた参考書やら問題集を拾いながらそういって。
その中で『帝都高校』という文字に目が留まる。
帝都高校と言えば学力、運動ともに有名私立校だ。
「君、受験生なんだ。俺も受験生」
この高校、受けるんだと思いながら
俺もこの子が行くのだったら
受けてもいいかなと考え始める。
「え、そうなんですかっ!?
君はどこを受けるの?」
「偶然にも君と同じ高校かな」
同士がいたと目を輝かせる彼に
俺はまた一つ心を奪われていく。
そして、俺はその日から
彼のストーカーへと変身したのだった。
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