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蔵本湊 5 (修正済)
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僕は、見知っている天井でまた目を覚ました。
ここは……燿の部屋だ。
そう気づいたのは、
彼が好きな漫画や
彼がいつも使っている部屋の
アロマの匂いからである。
てっきり小澤君の家で
目を覚ますのだと思っていたので
少し驚きながら燿の姿を捜す。
どうやら席をはずしているようで
彼の姿は部屋にはなかった。
僕を助けて怪我はしていないだろうかと
いつもヘラヘラとしている彼の姿を
思い浮かべながら心配をする。
そんなことを思っていると、
この部屋の持ち主が帰ってくる。
「……起きたのか、湊」
ほっとしたため息をつきながら
お茶をテーブルに置く。
「う、うん……。あの、えっと……」
まだ声がでなくて
助けてありがとうの言葉が
なかなか言えなくて
言葉につまっていると、
「びっくりしたよ。
お前がさ、
服脱がされて男どもに囲まれてるんだもん。
湊さ、どこもなにもされてないよな」
そういって僕を心配するように
頭をなでてくれた。
やっぱり助けに来てくれたのは
小澤君じゃなくて
燿だったんだ……。
「…燿、僕を助けてくれたんだね、
ありがとう……」
小澤君にいおうと思っていた言葉を
燿にはにかみながら伝えると、
燿は照れくさそうに『別に』と
小さくつぶやいた。
僕は何を期待していたのだろう。
小澤君が助けに来てくれるはずがないのに、
助けに来てくれたんだって
一人で喜んでしまって。
僕は、本当におかしい……。
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