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蔵本湊 11 (修正済)
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「あ、山川先輩。
あれ、碧君も一緒だなんて珍しい」
教室から少し離れたところに
山川先輩と仲良く話している僕の後輩がいた。
僕の後輩――高坂碧(こうさか あおい)は
本を借りに行くと
よく話したりする図書委員で
まったく先輩とは
知り合いのはずではないと思ったから
僕の口から『珍しい』という言葉も不思議ではない。
「湊先輩」
碧君は僕の姿を認めると、
会話をやめてペコリと頭を下げて礼をした。
「久しぶりです」
僕に挨拶をしながらも山川先輩を
チラチラと見ちゃって可愛いななんて
思ったり。
「久しぶり……、話ってなんでしょうか、山川先輩」
ここで話をするのもなんだからと
この時間帯は誰もいない図書室に
連れてこられた。
四人席に先輩と高坂が
僕の前に座って
向か合わせをしながら
会話を始める。
「実は、碧から君の後を付けるうちの高校生がいるって聞いて
心配になったんだ。
君のことは学校の裏で
よく盗撮した写真を取引するって聞くし…。
もし被害とか受けていたら
一応、生徒会長として注意もできるけど……、
大丈夫かな?」
話って小澤君の事だったんだと
曖昧に僕は頷いた。
それにしても学校の裏で盗撮した写真が気になったが、
話がずれそうなので後でにしよう。
「たぶん大丈夫です。
彼の事、よくわからないんです。
つけられているっていうよりは
守られているような感じもしますし、
決して迷惑ではないからどうしたらいいのかなって」
でも誰かに関係のない人に話したかった。
僕をあまり知らなくて
僕が相談しても誰にも言わなそうな口の堅い人。
「そっか。迷惑ではないならいいんだけど」
自分の事のように
辛そうに顔を歪める先輩と
不思議そうに顔をかしげている後輩の姿が
目の前にあった。
そんな重たい空気を取り除くように
「積極的になってみたらどうですか?」
それは先ほどから首をかしげ不思議そうに
僕を見つめてくる後輩から言われた。
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