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蔵本湊 17 (修正済)
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そのあと、気まずくなちゃって
ずっと黙っていた僕らだけど、
もう家の周辺に来てしまった。
「…今日はありがとう、
僕、もうすぐ家だし、一人で帰れるから」
名残欲しいなと思いつつ、
僕は別れを切り出した。
といってもまた明日会えるわけだし、
ちゃんと明日からは挨拶も含めて頑張りたいなと思う。
「蔵本君、あのさ……さっきの……」
小澤君は先ほどの会話が
よっぽど気になっているらしく
また掘り返そうとしてくる。
「あー!!もう、行かなきゃっ!
今日店の手伝い、あるんだよねっ」
本当はないけどあると嘘をついてまで
その話題を戻したくはない。
……だって気づいちゃったんだ。
自分では、
友達になりたいのかなって思ってたけど、
僕が男の小澤君を恋愛対象として
見ているっていう事に。
気づいちゃったら
もうきっとその感情は止められなくて。
今はまだ人間として好きってことを思いこんで
小澤君と接しているのに、
小澤君に俺との関係どうしたいとか
聞かれたら僕はきっと。
僕が友達になりたいとか
そういう気持ち以外があると知ったら
気持ち悪がってストーカーさえ
やってくれないんじゃないかって、
僕に興味を持ってくれないんじゃないかって心配で。
心配と好きっていう止められない気持ちが
混ざり合って『恐怖』になっているんだ、
今の僕の心の中は。
「蔵本君、嘘つかないで」
もう小澤君にその話題を振られたら
完全に欲が出て
恋人になりたいだなんていう前に。
この気持ちが止められなくなってしまう前に。
「嘘なんかついてないよ!
急いでるから、またね!」
僕は小澤君に背を向けて走り出した。
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