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蔵本湊 24 (小澤side) (修正済)
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あいつ、なかなかやるじゃんと思いながら
俺の目の前の席で楽しそうに笑う二人を見つめる。
俺が話しかけようとすると必ず注意を引いて、
ずっと湊君の傍から離れない。
もっとも俺はリレーの段取りやら
練習の日取りやらの会議で、
湊君たちは、当日の段取りやリハーサルのことなどの全体の会議。
そもそも会議内容が違う。
しかし、担当の教師が同じだということで
同じ教室となっただけである。
てゆうか、湊君も湊君である。
先ほどあいつは、湊君に軽くキスをしやがったのに、
平気そうな顔でヘラヘラと笑っている。
もっともそれはあいつが、消しゴムを落として
拾った湊君があいつを見上げた時に唇が当たってしまったという
事故に見せかけるように細工をされたもの。
「じ、事故!」
その一部始終を見ていて
かなり頭に血が上ってあいつの胸ぐらをつかんだが、
湊君が事故だよと言い張るのでそういうことにした。
本当はまだ許していないが。
「……み、『湊、ここがわからないんだけど』
こんな感じに遮られ続けて俺もそろそろ限界だ。
こうまで邪魔されると、ムカついて腹の虫がおさまらない。
「ねえ、あんた。邪魔しないでくれる?」
奴の肩を叩いて、苛立ちを覚えた声で聞く。
「は、何が?」
江端も湊君との会話を邪魔されたことで
怪訝そうな顔でこちらを振りかえる。
「蔵本君に聞きたいこととかあるのに邪魔するなって話」
「そんなの、俺だってあるわ。だから今、話しているだろ」
お互い、その場所を取りたくない。
その気持ちは二人とも強いため、険悪な雰囲気を作り出した。
険悪な声に周りの人たちもこちらを見るが、
そんなの気にしていられない。
「あ、えと、小澤君。
今、全体のリハーサルの流れ確認しているから
小澤君は後ででいいかな」
困った様子で湊君が言ってくれるが、
「俺はあと」と言う言葉に過敏に反応する。
しょうがないかもしれないけど、
こんなの耐えられなかった。
「俺、帰ります」
いらいらしながら
勢いで鞄を持って、教室を出た。
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