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ホワイトデー 1
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今日は、ホワイトデー。
茉莉からのバレンタインのお返しに、クッキーを焼く為に食堂へと行った。
今年が初めての、お返しを作る愁が先に来ていた。
「気合い入っているね」
颯人が言うと、愁は困った顔をしていた。
「料理が初めてだから…不安しかないよ」
(それでも、可愛い恋人の咲の為にクッキーを焼きたいと思うなんて、愁は優しい)
自分は…婚約者の茉莉からせがまれて、クッキーを焼きに来ただけ。
(…茉莉の事は好きだけど…面倒くさい)
自分は、はっきり言って手芸以外はズボラな性格な為、他の作業となると身体が重い。
だが、茉莉の喜んだ顔が見たいから今日だけは料理を頑張ろうと思う。
「さて、始めるか」
「そうだね」
愁とは中学からの親友だから、このクッキー作りも『一緒にやろう』と声をかけた。
愁は嬉しそうに、同意してくれた。
親友は、病気でもないのに色が見えない。
料理には適していない。
でも、颯人からしたら運命の人、咲を見つける為の個性なのかなと思っていた。
「咲から、何か借りてきた?」
咲が来るまで、身代わりの物を用意するように言っていた。
怪我をしたら誘った手前、罪悪感を感じるから。
「うん、ボールペン」
「…愁、もっとこう…他にあったよね?」
「え?でも授業中、ずっと触る物だし…」
「…なんか違う」
自分だったら、絶対借りない。
腕時計とか、スマホとかしか思い浮かばなかった颯人はため息をついた。
「ま、いっか。じゃあ始めよう」
咲が来るまで、クッキー作りが始まった。
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