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〃 ⑥
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聴いている内に、秋大の決勝を思い出した。
♪春よ、遠き春よ♪
ああ、そうか…そうだな…
春のセンバツ…
遠い……
「監督……春……センバツ、遠かったスね……」
呟きながら涙が溢れてきた。
「……っ」
グスッと鼻を啜るオレに、監督が腕を回して肩を
抱いてくる。
普段とは違う行動に驚いて、監督の顔を見る。
思ったより近くにあった その顔は、やさしい眼で
オレを包み込む。
「一人で泣くな……
オレの胸で泣けよ」
そう言って、オレのアタマを胸に抱え込む。
監督の優しさに、ますます泣けてきて
そのまま寄り添って曲を聴く。
どこからか桜の匂いがしたような……
そんな気がした。
全曲の演奏が終わっても、しばらく2人で座っていた。
監督に身を委ねるのは心地いい。
このまま、ずっと、こうしていられたら………
「さあ、行くぞ。そろそろ時間だ」
「そうスね……」
ふと、オレは思い出し笑いをする。
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