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〃 ③side雷蔵
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真田の奴、距離を詰めて来やがった。
…と思ったら、急に「監督っ」なんて呼びやがる。
「あ?」
オレは、右側にいる真田に顔を向ける……わ、近いな、おい。
「あの、昼間の、」
沈黙を嫌っているのだろう、思いついた事を口に
乗せているような話し方だ。
「昼間の?」
「はい。監督の口説き文句、って、」
…そのハナシか。
「オレの胸で泣け、か?」
「はい。それ、って、どういう状況で、どういう人に……?」
「そんなの知ってどうするんだ?普通に考えたら、母ちゃんに向かって、だろ?」
そうとも限らないか。だけど、そんな昔のハナシ、わざわざ。今ココで。意味あるか?
「!…どうもしないですけど。……奥さん、ですか……あの、知りたいんです。監督のコト、いろいろ……」
……あ。なんかヤバイ。真田がしょげちまった。
「オレ、女々しいっスよね……普段こんなこと、ないんスけど……」
真田が空を見上げて言う。
「普段?」
「はい…彼女とかに昔のコト聞いたりなんて、しなかったス。」
彼女、という言葉に、胸がツキン、となる。
そうだよなぁ。普通、は、彼女、だ。
イケメンで優しくて熱くて適度にだらしなくて。
モテる筈だ。
なのに、オレの事を好きだ、と言う。
オレの事を知りたい、なんて言う。
そんな事を言って、オレをかき乱してくる。
そんな事を言われて、かき乱されてる自分にも
苛々する。
中途半端に、好き合っているから いけないのか?
何か……例えば、昼間、手を繋いだけれど、それ以上の、何か繋がりが必要なのか?
例えば、抱き合う、とか。キス、するとか。
体を繋げる、とか?
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