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ある朝のお話~カイレン編02
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「アルザッ!!
起きてるなら出てこい!!」
ピコピコッ
「聞こえてるんだろ―――
おわぁッ?!?!」
ぬッと褐色の太い腕が出てきたかと思ったら
ものすごい力で掴まれ、そのまま布団の中へと
連れ込まれてしまった。
その衝撃でおもちゃを手放してしまう。
あまりの速さに茫然とし、
気付くとカイレンに抱きしめられ、
カイレンはクリノの胸に顔を埋めていた。
くせのある柔らかな灰色の髪が顎に当たって
少しくすぐったい。
分厚い羽毛布団の中は薄暗く、
カイレンの匂いがした。
「ちょッ、アルザッ!!
起きろって…!!」
体をよじってほどこうとするが無駄だった。
一切緩む気配がない。
寝起きでこれだけ腕に力を入れられるなら、
自身の上体を起こすのも容易いのではないかと思う。
本人はそこまで考えが及ばないらしい。
考える気がないと言った方が正解かも知れない。
「ん゛~ん゛~!!」
唸り声を出しながらカイレンは
顔をクリノの胸に埋めながら左右に振る。
顔で胸をグリグリされてくすぐったくなる。
「や、やめろッアルザッ!!」
カイレンの両肩を掴んで抵抗する。
ピタッと動きが止まった。
カイレンの顔が少し浮くと、
ようやくまともに言葉を発したが、
まだ眠そうな声をしている。
「…クリノ、いい匂いする」
「ッッ!!?はあッ!!?///」
「…シャワー浴びたんだ?」
「だッ、だったらなんだよッ!」
「…おいしそう」
「はあ!?!?!!」
まったくもって意味が分からない。
どうしたらその答えになるのか。
クリノには全く理解できない。
カイレンの腕の力が緩められ、
顔が首元へと近づく。
すると、首筋に軽く歯を当てられ、
噛まれたところを唇で強く吸われる。
ぢゅっと音を立てて離れた。
「なッ…!何す…!!///
ていうか、何で服着てないんだよ!」
先程、肩を掴んだ時は気つかなかったが、
カイレンは上半身裸の状態だった。
「ん~ん…」
おおかた、昨夜シャワーを浴びて
着替えの途中で力尽きたのだろう、とクリノは悟った。
甘ったるい声を出しながら、耳の下から
首筋を通り、鎖骨にかけて、ちゅっちゅと
音を立てながらクリノの肌を吸っていく。
首にかかる吐息がくすぐったく、
堪らず体をよじって抵抗し、声を荒げる。
「やめろッ(怒)」
ちゅっちゅ ちゅっちゅ
首、鎖骨、頬、耳。
カイレンの口づけは増していく。
抵抗すればするほど絡み付いてくる。
先程までは上半身のみ抱きつかれていたが
気付けば両足をカイレンの股の間を通し、
足も抱きつかれていた。
大きな抱き枕に全身で抱きついている形だ。
カイレンが服を着ていないせいもあり、
体温が伝わりやすい。
しかも先程から受けている口づけと吐息、
恥ずかしさからクリノは不快感を覚えるほど
体温が上昇していた。
「アルザッ!いい加減にしろよ!?
暑いからッ離れろッ!!」
クリノはカイレンの肩を掴んで
引き剥がすように押すが、
少し体が揺れた程度でそれ以上は動かない。
それどころかさらに強く抱きしめられる。
「ぐぅう…動け、、!」
「んーん、やだ」
抑えつけられている状態で力を入れるには
限度があり、クリノは疲れて諦めた。
「はぁああ、もう、
今日は行かないのか?!」
「やだ行く」
「じゃあ離れろよ」
「やだ」
「あ゛?!わがまま言うな!!
どうしたら離れるんだよ!!」
「…名前呼んで」
「……は??いつも呼んでるだろ、
アルザ」
「…違う、それじゃない」
「ぁ??」
「本名、俺の名前
ね、呼んで」
クリノの心臓が一つ大きく跳ねた。
甘える声、表情、吐息。
それに今まで言われたことのない要求。
アルザとは偽名で、地位が高くなると
必ず愛称が与えられる。
愛称が与えられた者に対して基本的に、
愛称もしくは肩書で呼ぶが規則となっている。
カイレンの自室は城内にあるため、
必然的に常に愛称や肩書で呼ばれることになる。
クリノもそれが当たり前だと思っており、
カイレンの秘書になってからずっとそうしてきた。
本名は知っている。
だが、呼ぶ機会が一切ないし、
呼びたいと思ったこともなかった。
仕事とは関係ないようなコトをされたりもするが、
カイレンと過ごす時間は全て
仕事であり、任務だと思って務めてきた。
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