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新学年 01
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新学期初日。
真新しい高等部のブレザーに腕を通す。
少し寒いからお気に入りのパーカーを中に着て。
シャツを第二ボタンまで開けて。
緩くネクタイを締めて。
ピアスをつけて。
ネックレスをつけて。
校則なんか気にせず着たいように着る。
湊は式典で挨拶を読むため先に寮を出た。
主席の俺が拒否するため毎回湊が代読しているのだ。
ごめん、と思いつつ式典が嫌いな俺は断固拒否。
あの空間にいることすら苦痛でしかない。
「仕方ないなぁ」と引き受けてくれるからいつもなんだかんだと甘えてしまう。
今年も友人に大役を押し付けた俺は屋上へと直行した。
本館(高校棟)・南校舎の最上階。
西側突き当たりの生徒会室を曲がり、
そのまま奥まで真っ直ぐ廊下を歩く。
そしてひっそりと存在する階段を上ると扉が見えてくる。
本来立ち入り禁止だが無視。
合鍵を使って屋上へと出た。
風があって少しまだ肌寒い屋上。
けれど日差しは暖かくて目を細めた。
ここは何個かある屋上のうちのひとつ。
高等部正門や噴水広場、南校舎正面が見渡せる。
下を眺めると登校してくる高等部の生徒たち。
正門前ロータリーには高級車が列を成し。
品の良い子供達が、ドアマンの合図で続々と車を降りる。
そして正門を潜り抜け各々の教室へと向かう。
そんな様子をぼーっと眺めてると開始5分前のチャイムが鳴った。
朝の始業前だけは開始5分前のベルが鳴る。
まだ教室にいない生徒は急いで教室に向かう合図になっているのだ。
けれども俺はチャイムを無視して寝そべる。
エスカレーター式に上がれるこの学校には入学式という概念があまりない。
幼等部、中等部、は纏めて入学式が行われ、外部からの新入生もその式に参加する。
確か....昨日あったはず。
しかし初等部と高等部に入学式はなく今日の始業式だけ。
だからサボりやすい。
校長や理事長のクソ長ったらしいお話聞くのの何が楽しいんだ。
大半の生徒が寝てるだろ。
同じ寝るなら気持ちよく寝たいって思うわけで。
気持ちよく寝るなら椅子よりもやっぱり
寝転がって寝るのが一番だと思うわけ。
特に保健室のベッド。
あれは格別。
そんな事を思いながら、目を瞑る。
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