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それは、1年前…中3になったばかりの、ある日曜日の夕暮れのことだった。
俺が所属しているクラブチーム、上園中央ベースボールクラブ(以後、上園中央)はいつも通り練習を終え、グラウンド整備をしていた。
俺の隣で無言でブラシをひっぱるコイツは、菜田聖真。周りからは10年に1人の逸材と呼ばれていた。
「…なんだよまじまじとこっち見て」
しびれを切らした聖真が、じとりとこちらを振り返る。
それなりに整った顔は、相手を射抜くような鋭い視線と、いつも突き放すような冷たい言葉がぽんぽん出てくるとは思えない。
「いや…なんか、俺たちもう中3だなって」
俺の返答を無視してさっさか前を歩くその姿は、まだまだ幼さが残る線の細い儚い背中だった。
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