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よんじゅうさん
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「お化け屋敷やってまーす!」
「美味しいケーキ売ってますよー!」
「2時から、体育館で劇するので見に来てくださーい!」
廊下が人混みであふれる中、あちらこちらから客寄せの声が聞こえる。
「ほら、由紀ちゃんも。客寄せしろよ」
「いや...無理だろ」
九条が俺の隣でニコニコしている。
廊下にいる奴らからの視線を凄く感じた。
コソコソと他クラスの奴らから「アレって、由紀だよな?」という声がして、もう死にたい。
「あのぉ、すみません。2人とも一緒に写メ撮ってもらってイイですかぁ?」
他校のギャルらしき女2人が俺ら2人に話しかけてきた。
すると九条が
「お店に来てくれるなら、撮ってもイイですよ」
と言って女2人に笑った。
女2人はキャーキャー言って、店である教室に入って行った。
俺が席に案内すると、女の1人が腕を触ってきた。
「超、可愛いですね!女装似合うー」
「あー、はい」
俺は適当にあしらう。
「メアド教えてくれませんか?私、南校のエミって言います」
そう言って、腕を絡めてきた。
前までの俺なら、メアド交換してすぐさまヤっていたのだろう
男とヤってばっかの、今となれば女を抱きたいという欲が湧かない。
「すいません、俺忙しいんでー」
俺はそう言って、腕を払い除け、廊下に戻った。
廊下に出ると、バッタリ、他クラスの友達の悠紫と会った。
「...奏斗、?」
休憩時間なのか普通の制服姿の悠紫が、目を見開いて聞いてくる。
「...人違いじゃね」
「いやいや!奏斗だよな?何だよそのカッコ、あはは!」
悠紫がゲラゲラ笑う姿を俺は冷ややかな目で見てやった。
「やっべ、写メ撮らせて!」
悠紫がそう言ってスマホを俺に向けてくる。
「やめろっ!」
俺が、そう叫んだ頃にはもう遅く、シャッター音が鳴った後だった。
「消せっ!」
「無理ー、Twitter載せるわ」
「くそ!死ね!お前もうどっか行け!」
俺はそう言って悠紫を蹴りあげる。
すると悠紫は、ゲラゲラ笑いながら手をヒラヒラ振ってどこかへ言った。
最悪だ。
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