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公園にいた人 ~楓~
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駅に行く途中、俺は見覚えのある姿に足を止めた。
「……何してるんだ…?」
その人は俺の家の近くの公園のブランコをギコギコと漕いでいた。
いやいや、高校生にもなって独りでブランコとか……もあるか…
俺はそろそろとその人に近付く。
「…池田─何してんの…?」
俺が声をかけると池田友綺が顔をあげた。
─えっ?
俺に向けられた池田の目は赤く腫れぼったかった。
もしかしたら泣いていたのかもしれない。
「あ…れ?木下やん。そっちこそどーしたん?
こんなとこで。」
池田は何でもないように笑った。
「いやぁ─…家近いから…さ……」
逆に俺の方がぎこちなくなってしまった。
──池田が泣いていた理由が気になる……。
でも、それを聞いて良いものかが分からず、俺は黙って池田の横のブランコに座った。
池田は目を丸くしてこっちを見たが、黙ったままだった。
俺もブランコをギコギコと揺らす。
「─…木下学校遅刻すんで……?」
俺から何か言おうと思っていたが、先に池田がそう言った。
「…別に遅刻しても俺は良いけど……
池田の方が遅刻するのマズくないか?学年代表だし。」
「ん─俺?俺は…ほら…昨日も遅刻したし?」
「…そっか……」
「……」
何だか気まずい。
─…だって昨日会ったばっかりでまだ池田の事よく分かんないし……!
ほっとけないけど、どうすれば良いかも思いつかないし…。
だけど、いつまでもここにいるわけにもいかない…。
あれこれ考えてみてもどんどん頭が混乱してきて、俺はとうとうこう言った。
「とりあえず俺の家に移動しようか?」
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