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冷える朝には。1
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影山side
いつものように早起きして、朝飯と準備を適当に済ませ、マフラーと手袋を着けて家を出る。
はぁ、とため息をつくと、ふわっと白い息が現れて消える。毎日のことではあるが、なかなか早朝の寒さには慣れない。
「…さっみぃ、早く学校行こう」
寒さから解放されたいのと、早くボールに触りたい気持ちから、自然と足運びが早くなる。
無心でひたすら歩いていると、後ろから自転車の音が聞こえる。静かな冬の朝は静かでよく聞こえる。
それにしてもすごい勢いでこちらに近づいてくる音。少し耳をすませてみると、
「…やまぁ!」
ん?
「…げやまぁ〜!」
聞き覚えのある声に嫌な予感がして、後ろを振り返ってみると
「影山〜!おっはよ〜!」
満面の笑みで俺に手をふりながら、猛スピードで坂道を下ってくる日向の姿が。
「…ちょっ、危ねぇだろ!スピード落とせって!」
そう叫ぶと、何が?みたいな顔をした日向。その数秒間にも日向はこっちに近づいてくるわけで。
「お前っ、バカか!ブレーキかけろ!って…」
遅かった。俺の目の前で盛大にコケた日向。いってぇ〜、なんて言いながらもヘラヘラ笑ってるコイツはやっぱり無敵だ。
「…だから言っただろ」
「あはは〜、影山に手振ってたら忘れてた〜笑」
ヘラヘラしてるコイツを呆れた目で見おろす。すると日向が俺を見上げて手を差し出した。
「影山っ、手っ!」
「…は?」
「だから、手っ!」
「…はぁ、…ほらっ」
仕方なく日向の手をとり立たせてやると、その勢いのまま俺に抱きついてくる。
「…な、なんだよ」
「あったけぇだろ?」
そう言って、ニィっと笑う日向。あぁ、相変わらず今日もコイツのペースだ。でもこうでなきゃ、1日が始まんねぇからなぁ、なんて思いながら、日向と学校へと歩き出した。
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