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翌日からもう1週間...それでも生徒会室でのことを忘れられなかった。
別に忘れろって念じれば忘れられるちっぽけなことなんだけど、
生徒会室で会ったあの人のことがどうしても頭から離れない。
「サキ...おーいサキっ」
「あっ、えと...何?李斗?」
「大丈夫か?お前ずっとその調子だけど...」
「あー大丈夫大丈夫っ!」
やっぱり李斗は気付いてるんだ。ずっと一緒のクラスっていうのもあって俺の様子を見てわかっているんだろう。
「李斗いる?」
「兄さんだ...ちょっと行ってくる」
羽山先輩の元に李斗が走って行ったため、その姿を目で追いかけた。
追いかけたのはいいが、見るんじゃなかった。
生徒会室で会ったあの人が羽山先輩の隣に立っていた。
俺は思わず立ち上がりバレないようにと、羽山先輩たちの視界から外れようと動いた。
けど
「崎谷っ!どこ行くんだよー?お前に客いんぞー」
羽山先輩の通る声に背筋が凍る......
思い出したくなくて忘れようとしてたのに...
俺は教室から出て走った。
俺はいまだに有沢さんが好きで別れを告げられた時のことが忘れられない。
でももう終わりだって分かってる。
けど
有沢さんと屋久土先輩がようやく付き合うようになったって聞いて心が撫で降ろされた...なんて嘘で
好きな人の恋の応援なんてできるはずがない。
どうしてあの時生徒会室前を通りかかったのか...
俺もとか考えてたんだよ...?
そもそも生徒会室に興味本位で入ったのが1番ダメだったんだ。
どうして俺は......
「待って...っ!!」
あの人の声が聞こえて走る速さを上げた。
「待って!逃げんなよ!」
「...嫌だっ、追いかけて来ないでっ!」
屋上へ続く階段を駆け上がる手前で腕を掴まれて
そのまま踊り場に押し倒された。
お互いに走ったせいで息が切れた音が階段に響いた。
「......っなんで」
「お前が、ハァ、教室からっ...出て、ハァ、くるからだろ」
「ハァっ...、普通、追いかけて...来ない、ですよ」
「お前、俺が来た理由...ハァっ、わかんない、の?」
そんなのどうでもいい。知るも何ももう関わりたくない...
俺は顔を背けた。
「なんで分かんないわけ〜...はぁっ」
ため息を突かれて思わず身体がビクついた。
ヤバい......もうなんか泣きそうだ。
「俺が来た理由は...お前にちゃんと謝りたかったのと、あん時凄い悲しい顔してたから気になってきた。それだけ」
そう言いながら、またため息をついて俺の上から退いて
俺の隣に座った。
「まず...この前はごめん、言い過ぎた」
なんで優しくするんだよ...勝手に入ったのは俺で勝手に出てったのも俺で...
「それと、なんかあった?」
そう言いながら俺の頭をぽんぽんしてきた。
究極的に弱ってる俺に初対面のこの人は、なんでこんなに優しくするんだよ?
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