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助けてくれたことに感謝でいっぱいの半面
「由鶴さん...ごめ、ん」
迷惑をかけたことに申し訳なく感じた。だから本当は思いっきり泣きたくて、けど泣いてられなくて。歩くスピードについていきながら謝ることだけを考えた。
「由鶴さん......あの...っ」
何も反応してくれない。
やっぱり迷惑をかけたから起こっているんだと思う。
「由鶴さ」
「うるさい」
きっぱりと言われ、その言葉が心にささる。
ついた場所は基本誰も使わない机も黒板も教卓もない部屋だった。
中に入るなり、すぐ内側から鍵をかけて手を離された。
と思ったら、俺の頬を両手で挟んできた。
「謝るの朝比じゃない、謝るのはあっち!」
「......由鶴さん」
「はぁ...本当さ、なんて顔してんの?」
そう言いながら俺の頬とか頭を撫でてくれた。
そしてまた由鶴さんに手を引かれて、部屋の端に2人でくっついて座った。
「まだ顔見ると思い出す?」
「...はい」
「そっか......」
そう言いながらも由鶴さんは俺に気を使って、何も言ってこなかった。
「凄い今更なんですけど...好きになるんじゃなかったなって思いました。もう遅いですけど」
「でもさ、それはしょうがなくない?好きになったもんはしょうがないって...それにそう簡単に嫌いになれないだろ?」
由鶴さんの様子を伺うと少し苦笑しながら話してた。
「だけど、朝比の場合はしょうがないで済まないもんな...少しの期間付き合ってたんだろ?」
「はい......」
「んー...なんかな〜!恋愛ってそんな難しいもんだったかなー!!」
腕を組んで、う〜んっと考え始めた。
そうだよ、恋愛ってなんでこんな難しいんだろうか?
誰もそんな分かりやしない。
遊びだったのが、本気になっちゃったのがいけなかったんだ...
全てに原因は俺で......本当は俺が悪いんだ......
有沢さんの弱みに付け込んだ俺が......俺が......
「おーーーーーーいっ!」
「...うわっ!?」
「大丈夫?」
気付いたら由鶴さんに呼ばれてて気付かなかった。
「...考え混んでる当たり見ると自分が悪いんだって責めてた感じかな?」
由鶴さんに見抜かれてたことに一瞬背筋がゾワッとした。
何をしてても分かるなんて......絶対由鶴さんの前では隠すなんてできない。
「あっビンゴ?」
「......っ」
「あーっ...ごめん、からかって」
何故か謝られてしまった。それに対して俺は首を振ることしかできなかった。
「少しは元気出して欲しくてさ...落ち込んでる人の姿って見たくないじゃん?ましてや、付き合ってる子とか」
「由鶴さ...ん」
「誰かのせいで傷ついたり傷つけられるなら一層のこと...誰の目にも触れない、俺だけにしか見えないようにしてやりたい......」
由鶴さんの優しさに涙が自然と流れた。
始めから由鶴さんを好きになっていれば、こんなに苦しむことはなかったのに...どうして俺はこんなにバカなんだろ?
すると何故か由鶴さんに目を手で覆われた。
「少し目休めたら?ここんとこ泣きっぱなしだろ?少し寝なよ、目のためにも...自分のためにもね」
「でも...」
「大丈夫。俺はどこにも行かないから。突き放すなんてもってのほかだしね?」
そう言いながら由鶴さんは俺の身体を自分の方に倒して、膝の上に俺の頭を預けさせた。
「まぁここの高校サボっても単位取れるしさ、寝るだけ寝ろ。俺もそのうち寝るからさ」
「はい......あの、由鶴さん?」
「ん?」
「ありがと...」
「ん」
返答も行動も俺に対して優しい由鶴さん。
感謝しきれなくて涙が溢れ出る。
「あーあーそんな涙流すと身体の水分なくなるからね!とりあえず、マジで寝ろ」
「......はいっ」
「素直でよろしい!はいっ、おーやーすーみー!!」
そう言って笑いながら、俺をトントンしてくれた。
ぬくもりと優しさに身体を預け眠りについた。
こうして1日目が終わった。
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