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「では今夜は外食をしましょうね」
「うん、楽しみ」
「私もです、行って来ます」
「行ってらっしゃい・・・和海」
「はい」
「愛してるよ」
「私も愛しています」
そう言って抱きしめてくれた
本当はずっと一緒に居たい
でもそれはだめなんだ
一人になった部屋でぼんやり天井を見つめていた
もう時間が無い
最後に・・・迷惑かけちゃうけど許してね
俺は書きなれない字で自分の罪を全て書き、テーブルの上に置いた
一番大切にしていたピアスを外し、和海からもらったピアスをつけた
クローゼットに向かいネクタイを取り出しじっと見つめた
ベランダ・・・バスルーム・・・リビング
死ねる場所ならどこにでもあったけど俺はリビングを選んだ
最後は和海に見つけて欲しかったんだと思う
頑丈な柱にネクタイをひっかけじっと考えた
苦しいのだろうか?
どれくらい苦しむのだろうか?
本当は凄く怖い
でも、和海に迷惑はかけられない
俺がここにいるだけでもう迷惑はかかっているのにね
もう怖いと言って逃げる事は出来ない
かと言って罪を償うには遅すぎた
死ぬ選択は逃げだ
一番卑怯なやり方だ
罪を償おうともせず、死んで逃げようとするんだから
そんな事俺にだってわかっている
和海を悲しませる事が一番つらい
でも・・・俺はそこまで強くない
強くないんだ・・・・・
情けないけど罪を償うほどの勇気が無い
刑務所で暮らして本当に一人になるのが怖い
パトカーのサイレンを聞くだけで気が狂いそうになる
外を歩いていても顔をあげられない
「時間が無いね・・・和海、会えてよかった・・・本当に嬉しかったし幸せだった」
首にネクタイを引っ掛け目を閉じた
怖い・・・すごく怖い
これで本当におしまいなんだ
和海にももう会えないんだ
死んだらどうなるかとか考えたくない
怖くてどうしようもなくなるから
そして俺は椅子を蹴った
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