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暗闇をただ歩いた
怖いとかそんな感覚は無かったけど、周りに人が居る事に気付いた
その人達はそれぞれ糸が違う所から出ていた
俺と同じ首から出てる人
全身から出てる人
様々だった
そして気付いた
この糸は罪の証なんだと
俺は首を吊って死んだから首に糸が繋がっていた
全身はたぶん飛び降りか何かだろう
でも、もしかしたらこの中に和海がいるかも知れない
俺は必死に捜した
もう一度和海に会いたかったから
和海・・・和海!
そして見つけた
朦朧としながら歩いている和海
そんな和海に近付き何度も話しかけた
でも・・・無駄だった
声は届かないし和海の記憶は消えてしまったらしい
俺は和海の隣を歩いた
どこまで続くかかわらない暗闇
もしかしたら終わりなど無いのかも知れない
無限にループしているだけなのかも知れない
そう考えるとどうしようもない恐怖が襲って来た
でも・・・和海がいる
話は出来なくてもずっと傍にいられる
そう思っていたのに
どれくらい歩いただろう
気が付くと目の前に黒い影が見えた
その影は何とも言えない嫌な感じだった
そいつは鎌のようなものを持っていた
でも死神では無さそうだ
糸はそいつと繋がっていた
数えきれない人間が周りに集まっていた
そいつは黒い糸を1本1本引っ張り、鎌で糸を切っていた
もしかしたらここから天国へ行けるの?
そして和海の番がやって来た
和海の糸が切られた瞬間、そのまま光に向かって歩き出した
追いかけたくても追いかけられない
体が動かない
光を見たのは久しぶりだった
それだけで安心する
きっと和海は光の中にある天国へ行けたんだね
そして俺の番がやって来た
そいつは俺を見つめ、糸を切った
でも、光は見えなかった
そこはまた無限に広がる暗闇だった
糸はもう無い
俺はもうどうする事も出来ない事を知った
最後の望みの糸は切られてしまった
俺には光では無く暗闇が待っていた
こんなことならずっとあの部屋にいればよかった
少なくとも光はあったから
でもそれはいけない事なんだ
死んだらずっとそこにいてはいけない
俺はこの暗闇の中で永遠を過ごさなければいけないんだね
眠る事も出来ない世界
ここで自分の犯した罪を償うしかないんだね
気が遠くなるほどの時間なんて考えたくなかった
一人は辛い
一人は悲しい
どんなに辛くても和海を信じて生きていればよかった
本当にそう思った
でももう遅い
後悔しても遅いんだ
俺はこれからこの闇の中で永遠に彷徨い続けるしかない
愛する人を悲しませた罪が一番大きい
そしてその命まで俺は・・・・・
和海・・・会いたいよ
もう一度会いたい
でももうそれも叶わないんだね
気が付けばまた首に糸が垂れ下がっていた
やはり罪が許されるまで永遠に糸を辿るしかないんだ
光が見える世界へ行けるのは一体いつなんだろう
もしかしたら永遠に糸を辿らなければいけないのかのね
ここには何もない
あるのは暗闇と空虚だけ
後なん百回、何千回糸を辿らなければいけないんだろう
俺の犯した罪は重い
一番重い罪
それは自ら命を絶った罪
犯罪の罪なんて比べ物にならない程の大きな罪
後悔してももう遅い罪
叫びたくても叫べない
声すら出せない世界
そして逃げる事も出来ない世界なんだ
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