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「楓!楓っ!」
俺は和海の腕の中にいた
そっか・・・俺は夢を見ていたんだ
「うなされていたので」
「ごめん」
こうして和海に会えた事が嬉しかった
すごく嬉しかった
しばらく和海を抱きしめたまま目を閉じた
暖かい
そしてここには光がある
それだけで十分
「今夜は外食にしましょう」
「うん」
「では、行って来ます」
ここまでは同じだった
もしかしてこれも夢?
「和海」
「はい」
「愛してる」
「私も愛しています」
やはり同じ
と言う事は俺がここから変えて行かなければいけないんだね
「和海・・大事な話がある」
「今ですか?」
「うん、今」
「わかりました」
俺は和海に全てを打ち明けた
あの暗闇に比べれば刑務所の方がマシだと思えた
「ごめんね・・・騙してて」
「・・・・・・・・・・・・・」
「もう俺の事は忘れてね、和海は和海の人生を歩んで欲しい」
「無理ですよ・・・」
「辛くてどうしようもなくて本当は死のうと思ってた・・・でも死んだ後の夢を見たんだ・・・そこは耐えがたい恐怖と後悔があった」
「待っています、いつまでも・・・たとえ無期懲役でも」
「和海・・・」
「お互い年を取ってしまいますが楓には心から笑って欲しいから」
「もう会えないかも知れないのに?」
「刑をまっとうして死ぬのなら天国へ行けるでしょ?」
「そうかな」
「はい、私が必ず探し出します」
「嬉しいな」
「楓っ!」
和海は俺を抱きしめながら泣いてくれた
ずっと・・・ずっと・・・朝まで抱きしめながら泣いてくれた
この温もりが最後の温もりかも知れない
もうこうして抱きしめてもらえないかも知れない
でも俺は生きると決めた
あんな思いをするのもさせるのも嫌だから
そして俺は和海と一緒に警察へ出頭した
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