アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
再3
-
「リオ」
「リーオ」
「リオー?」
今日1日で石蔵の声を何回聞いたことだろう。
どこに行っても何をしていてもこいつは出現する。出現率100%だ。
しかも、やけに俺と小早川さんの接触を阻止してくる。小早川さん狙い?いや、だったら何故俺に構う。意味のわからない奴だ。
ということで今は昼休み。五月蝿いの(石田)とゴリラ(山田)から逃げるためにというか癒しを求めて図書室に向かった。
「確かHorry Patterが読み終わってなかったはず」
Horry Patterシリーズの巻をするすると横になぞりながら途中だった謎のプリンセスを探す。
愚者の水、秘密の地下、アカズボンの囚人、炎のブレスレット、仮死状態の騎士団、死の宝物。
「あれ? ないな」
謎のプリンセスがない。誰が借りてったのか?と思いシュールック・ホームズの本棚に移動しようとすると、俺の頭上に誰かの手が伸びた。
「?」
「や、リオ。またあったね。リオが探してたのって謎のプリンセスでしょ? 1段上にあったよ」
そこにいたのは、細くてきらきらした金髪と透き通るような碧い眼、長いまつげ。薄い唇と白い陶器みたいな肌。
謎のプリンセスを持つ手も綺麗で。
体格ががっちりしてなければ女みたいな編入生。そう、石蔵シキだった。
あんまり綺麗で見とれてしまう。
じゃなくて
「あ、ありがとう」
ぶっきらぼうに言って謎のプリンセスを受け取った。
だが、シキは満足そうに笑うと
「どういたしまして」
と小さく言った。
目で文字の羅列を追いかける。
追いかける、けど。
追いかけるだけで読めない。内容が入ってこない。
石蔵の視線……!!!
「だぁぁ!何なんだよ!集中できn…むぐ」
「しー。ここは図書室だから大きい声出しちゃ、ダメでしょ」
口を手で覆われた。ひんやりして気持ちいい。
じゃなくて。
「むぐ……んっ!…………んん!!」
「全く、僕は見てるだけなんだからいいじゃないか。いや、意識しちゃう所がかわいいのかな」
なにやらブツブツ言ってるが、どうでもいいそれより鼻を抑えるな!!息が出来ないだろ!離せぇえ!!
という意味で俺を覆う手をペチペチ叩く。
「あ。ごめん」
「ぷはっ…!! おい、死ぬとこだったぞ!(小声)」
顔が熱い。いや、照れてるとかそういう訳ではない。酸欠だ酸欠だ。
「……」
? 何故か石蔵に見つめられる。
「?? 石蔵? なん…だ、ッ!!?」
首筋に何か触れる。反射的にそれを掴むと、
「な、なん、だよ石蔵」
石蔵の手。
少しひんやりした。綺麗な。
石蔵の意図がわからなくて、何を思ってるのか汲めなくて、それ以上に俺が動揺し過ぎて。
「お、れ……先生の呼ばれてた気がしたから。ごめん後で」
何が後でか、自分でもわからなかったけど、ただ静かな図書室にはいたくなくて。
その時の石蔵の表情は見ないで図書室をあとにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 3