アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第二章 秘密(13)
-
二人で並んで腰を下ろすと、
「なんか嶋田と話すの、久しぶりだよな」
菅原はそう嬉しそうに言った。
「そうだな、お前、寮は第二だろ?」
「うん」
「同室、誰?」
「太田。わかる?映画オタクの。いっつも部屋でDVD見ててさ、それも俺がいるのに、ヘッドホンとか全然使ってくれねえから、音がすげえの。せめてボリューム落としてって頼んでも、そんなことできないとか言ってさ。
俺、もうこいつと無理、って思ってたんだけど、こないださ、部屋でむかつきながら勉強してたら、太田が見てる映画の音がさ、なんか違う意味ですげー気になって、え?え?どういう内容?って思って、なんかどうしても自分で見たくなってさ、太田に頼んで、最初から一緒に見せてもらったの。知ってる?『消えたカイト』っていう」
「俺も前、それ、太田から借りた」
「お前も見たの?あれ、すごくない?」
「すごい。これが映画なら、俺がこれまで見ていた映画って何だったんだってくらい」
「わかる!そうなんだよ。主演女優がさ、また、こんな人ほんとに実在するの?CG?っていうような美人で、魂が持っていかれるっていうか」
「太田、あの女優が出てる映画、まだ持ってるよ。俺、前借りた」
「まじかー。俺も借りるわ。・・・・・・それで、お前は誰と一緒なの?」
「俺は、西野。西野まどか。知ってる?」
それまで楽しげに笑っていた菅原は、一瞬、虚をつかれた顔をした。しかし、すぐに立て直して、
「そりゃ、知ってるよ。え?まどかちゃんなの?そっか、もともと俺と同室のはずだったのが、こっちが太田になったんだから、太田と入れ替わったってことか。なんだか知らないけど、ラッキーだなあ、お前」
とまた笑顔を作った。俺は、
「菅原は知らないの?西寮で、追いコンの最中に問題が起こって、それで急に部屋割りが変わって、西野と俺が同室になったんだよ」
そう言って、菅原の顔を見つめた。その顔から、今度こそ完全に表情が消えていた。菅原は、力なく言った。
「問題って、何?嶋田、知ってるの?」
「知らないよ。聞いてない、3人の相手の名前までは。でも、菅原は、そのうちのひとりなんだろ」
俺がストレートに核心に切り込むと、菅原は一瞬、返事の言葉を探っているようだったが、ついに
「そうだよ。なんで、わかったの」
と認めて、ため息をついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 246