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五十四
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「明日の朝、9:00に洋服屋が来るから、それまでに起きて用意を整える必要がある。」
「洋服屋?」
「ヨシキのスーツを仕立てる。」
今日は20:00を少しまわった頃にコウが帰宅した。事前に早く帰れそうだという連絡があったので、俺も食事をとらずに待っていたわけだが、帰ってくるなり言われたのは明日の予定。
スーツ?いつ着るんだって話だ。
「いらないと思うよ?実際毎日浴衣でいるわけだしさ。」
「突然私が香港を出ることになったらどうするのだ。」
「は?旅行ってこと?」
コウは不満なのか呆れたように鼻を鳴らす。前から思っていたが、俺はあんな音をだせない。何処をどう使ったら、ああいう人を馬鹿にしたような音をだせるのだろう。
「ビジネスに決まっているだろう。その時、着物や浴衣で私の傍を歩くつもりか?悪目立ちしすぎる。」
「わかんない・・・けど。俺はここで待ってるわけだし。仕事なら仕方がないじゃないか。」
コウは目を見開いて俺を凝視した。
なんだって、こう会話がかみ合わないのかわからない。閃と下手な言葉で会話しているわけじゃない、相手はコウだというのに。
「私達の事を知らない人間ばかりの国なら一緒にいたところで問題ないだろう。むしろ私が海外に行くときは我々にとって好都合ということにならないか?ヨシキは私と出かけたくない、それが本音か?」
・・・・そういうこと、かよ。
「突発的な仕事で海外にいくようなことがあるかもしれない、その時は一緒にいかないか?ここで並んで出歩くのは無理があるが、海外ならデートできるじゃないか。着物じゃ不都合なのでスーツを作った方がいいと思う、どうだ?
って言えばわかるのに、洋服屋がくるから早起きしろ、って出だしだから訳がわからなかったよ。」
僅かにコウの頬が染まる。他人が見てもわからないだろうが俺にはわかる。
僅かな表情の違いも顔色も。
「なんだよ、デートが恥ずかしいのか?」
「・・・そのような事はしたことがない。」
「はぁ?女とメシ食いにいったりとか、映画みたりとか、そういうのないわけ?」
「ない。」
「ヤルだけ?」
「どうにもならない時にだけだ。調達された女が待つホテルに行って事を済ませる。それ以外の関わり方を知らない。」
「調達って・・・おいおい、って世界だな。俺でさえ自分で見つけてたっていうのに。」
「なんだと?」
・・・・・・。
この手の打ち明け話は禁物だった。気を付けているのにポロっと出てしまうことがある。
「予定は変更だ、食事は後にする。」
「はあ?」
ムンズと腕を掴まれがっちり抱え込まれた。浴衣の裾を簡単に割られて、尻を揉みこまれる。
「ちょっと!なんだよ、いきなり!」
指が後孔をつつき少しだけ指先が潜りこんだ。「ふっ」と僅かに声を漏らしたコウは俺の顔を覗きこんで言った。
「いきなりだと?ここはどうやらもう綺麗になっているようだが?」
「遅く帰ってきてもヤリたい放題じゃないか。それが早いお帰りとなれば尚更ヤリ放題だろ?」
「ふふ・・・察しがいいな。」
散々喘がされた後に洗ってこいと言われても困るのだ。だったらゴムをすればいいと言えば押し問答になる。
結局は俺が折れることになり、文字通り水を入れられる形になってしまう。
あれは・・・興奮が一気に冷めるじゃないか、コウに洗われるのはゴメンだから自分でするわけだが、あれはいただけない。
そんなことでSEXが中断するくらいなら、事前に準備しておけばいいだけだ。
おまけに中出しにこだわるコウのせいで、終わってからも洗う羽目になって、一日何回浴室に籠るか知っているか?と言ってやりたい。
そんなどうでもいい事を考えている間に、体は抱きかかえられるように運ばれベッドに放り投げられた。
俺を見下ろすコウの瞳は一際黒く輝き、トロリとした表面が色を映している。
「ヨシキとのSEXは生きていると実感できる最高の時間だ。だからこれがなくなったら、私は死んでしまうのだよ、わかるか?」
わかる・・・かよ。
コウとのSEXは息ができなくなって・・・死ぬんじゃないかって怖くなるぐらい気持ちいいんだぞ、わかるか?
そう言ってやろうとしたのに、唇をふさがれて言葉は喉の奥に消えていった。
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