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出会いは雨の中で 2
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「行き場が無いならウチに来い」
男がゆっくりと顔を上げた。
(水も滴るイイ男、だな)
顔が整っているのに目に生気がない事と、水に濡れている事とがやけにアンバランスなのに美しい。
崇人は男の頬に手をかけ持ち上げる。
体温の差があり、男の方が冷たかった。
ふっと男の目の焦点が定まり、崇人の目を見た。
「あ…」
男は驚いた顔をした。
ぼーっとしていたのに、いきなり知らない男に頬を触られているのだ。
「行く所が無いなら、ウチに来い」
崇人は再度、同じ事を言った。
気に入ってしまった。
手に入れたい。
男は悩んでいたが、口を開いた。
「…いいんですか?」
遠慮がちに聞く。
「あぁ、ウチはここから15分位の所だ。一人暮らしだから遠慮するな。お前、唇が紫色になってる。身体が冷えてきている証拠だ」
紫色、まではなっていないが大袈裟に言った。
「…」
男は右手を自分の唇に確かめるように触れた。
「飯を一人で食べていると味気ないから、一緒に食べてくれるとありがたいんだが…」
もう一押しが効いたらしく、男は崇人を真っ直ぐ見て言った。
「お願いします」
すぐタクシーを拾い、自宅の住所を告げる。
大雨という事もあり20分かかった。
高層マンションの中に入り、エレベーターに乗り込み部屋の階のボタンを押す。
「俺は近江崇人、名前は?」
「…壱…壱夜」
名字は言いたくないらしい。
男の名は壱夜(いちや)というらしい。
「嫌いな物あるか?今日の夕飯はカルボナーラにしようと思っているんだが」
「嫌いな物はないです」
「わかった」
エレベーターは指定した階に止まった。
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