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あー、イチャつけるって最高だわ。
あまり抵抗すると変に周囲に変にわれると考えているのか、荒太もされるがままである。若干の小言は出てるけど。
女装荒太を堪能していると、あっという間に電車は水族館の最寄り駅へ着いた。
「あ…おい、こっちだって」
駅から出て水族館とは真逆の方向へ向かおうとしている荒太を引き止めた。コイツ実は方向音痴なのか?ちょっと手を離したら迷子になってそうだ。
…それより。
「なぁ、今日一日荒太のことなんて呼べばいい?」
「あー…考えてなかった」
「全く女装には見えないけど、荒太って呼ばれてたら勘付かれそうで怖いだろ?」
「…できればやめて欲しい。けど、荒太って名前どう頑張っても女っぽくできなくない?ヨウ子とかはできるけど」
ヨウ子…気持ち悪い。あ、ヨウ子っていう名前がじゃなくてつい俺の女装姿を想像してしまったからだ。
全国のようこさんに喧嘩売ってるわけじゃないんですよ。
…あ、これでいいじゃん。
「しーちゃん」
「は?」
「椎葉だからしーちゃん。これなら大丈夫でしょ」
「いや、なんかちゃん付けはなんかちょっと…」
照れている。これは確実に照れている。急にモゴモゴし出した口元と、紅い頰がそれを物語っている。
よし、決めた。照れてるのクソ程可愛いから絶対これにしよう。
「でも他に思いつかないだろ?」
「そりゃそうだけど、でも…」
「ん、じゃあ決まり。行こ、しーちゃん」
電車に乗った流れのまま解いていた手を再び繋いだ。
水族館へと入って、チケットを2枚買う。水族館に来るのは何年ぶりだろうか。
「うわっ、クラゲ!」
入って1番近くにある小さな水槽に、小さなクラゲが沢山泳いでいた。小さな丸がふわふわと浮いていて、確かに可愛い。
水槽にペタリと手をつけ、顔を寄せてそれを見る荒太の目はキラキラしていた。本当、なんか良いよな。擦れてないっていうか。
猫も可愛がっていたし、荒太は生き物が好きなのだろうか。
あの時のことを思い出していると、パシャりと写真を撮る音が聞こえた。
「…なんで俺とってんの?」
「いや、本当はクラゲ撮ろうと思って出したんだけど、振り返ったらヨウが笑ってたから」
「……」
「一人でニヤけてやんのー!」
ケラケラと笑いながら、今度はちゃんとクラゲを撮っていた。
どうやらあの時の荒太も可愛かったな、という気持ちが顔に出ていたらしい。不覚。
「次、こっち!」
イキイキした顔で俺の手を引く荒太もやっぱり可愛かった。
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