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荒太side
イルカショーや魚への餌やり体験など、水族館で行われているイベントを全部制覇した。多分、ここまで満喫しているやつらは他にいないんじゃないだろうか。
お土産コーナーにも行こうとしたのだが、人が溢れかえっていて断念した。
とりあえず出ることになったが、その前にトイレに行っておくことにする。
この格好でどっちに…と思ったが、便利な世の中多目的トイレというものが存在するのだ。
女子トイレに入るハメになんなくてよかった。
用を足した後、希子先輩に持たされたメイク道具で化粧直しを済ます。
女の人ってすげーよなぁ…。毎日こんなに可愛くなる努力して、何時に起きてんだろ。
俺ももっと何か頑張らないと、女の人にヨウを取られそうな気がして怖い。
だからこの希子先輩の計画に乗ったわけだ。ヨウは嬉しいっていってくれたけど、それってやっぱり女の子の方がいいってことなのかな。
似合ってるかどうかはさておき、女の格好をしているのを気に入っているっていうのは、なんか複雑だ。
同性同士の恋愛って、こんなに悩むんだ。
一息ついて、トイレを出た。
……うわ。なんだあれ。
トイレのそばにある休憩所で待っているはずのヨウを探すと、三人の女の人に囲まれていた。遠目から見ても美人なことがわかる。
「えー、彼女さんと来てるんだぁ。なら仕方ないなぁ」
「ごめんね」
「じゃあ、連絡先交換しましょうっ!」
「今度お兄さんの友達も呼んで合コンとかしたいなぁ〜」
「んー、そういうの好きじゃないから」
所謂逆ナンというやつか。こんなところに来てまで女の人に声かけられるなんてどうなってんだ。
しかも何笑顔で受け応えしてんだよ。一応断ってはいるけど、そんなにサービスしてやらなくてもいいだろ。
食い下がる女たちにも優しく「ごめんね」と謝っているヨウに腹がたつ。
今日だって美優のことで嫉妬してお詫びのデートなのに、俺って本当学習しない。
だけどムカつくものはムカつくんだから、もうしょうがない。
ただ、俺の中で決めたことは守らなきゃいけない。それは1人で勝手に拗ねたりしないこと。…よし、決めた。
「…ヨウ」
話をしている4人に近づき、声をかけた。
俺が声をかけて来たことに少し驚いた顔をしたヨウだったけど、嬉しそうに笑って立ち上がった。
「おかえり、しーちゃん」
…。照れるな。照れるな俺、ここで照れたら俺の計画が台無しになってしまう。
「じゃあ、ばいばい」
さすがに彼女本人の前では彼女たちも何も言えないのか、大人しく引き下がっていった。
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