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「なあ、この後暇?」
「冗談。俺はバイトで疲れたんだ。さっさと帰らせろ寝かせろ。」
「…へぇ。じゃ、早く帰ろうか。」
「……?」
帰ろうか。
まるで一緒に、同じところに帰るような言い方だったから、俺は少し戸惑った。
だが普通に歩き始めたヨウを見て、特段深い意味も無いのだろうと思い、俺も足を動かし駅に到着。
どこで降りるか聞かれた時も、同じ三番線のホームにきた時も、何も疑問は抱かなかった。
ただの世間話で、家が同じ方向なだけ。
だってそうだろ?
この流れで、ヨウが俺の家まで着いてくるなんて、誰が想像すんだよ。アホか。
さすがに同じ駅で電車を降りた時は、お前家近かったのか、と驚いた。
いつまでも同じ道を歩くヨウを流石におかしいと思ったが、実はお前と同じマンションに住んでると言われて納得。
まんまと騙された俺は馬鹿だと思う。
だって普通、そんなに近くに住んでいるのならコイツを見かけることが何度もあるはずなのに。
こんな目立つ容姿を見逃すなんて奴はこの世にはきっと存在しない。
しかし、今まで俺はこの辺でヨウを見かけたことは無かった。
エントランスからエレベーターに乗り、5階のボタンを押す。
お前は、と聞くとまさかの回答「俺も。」。
エレベーターを降り、廊下を進み、俺ここだからと言って504号室の鍵を開けた。
ああ、なんて返事を寄越してきたヨウはもう少し奥へ、廊下を歩いていった。
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