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時はすぎ月曜日。
今日は俺にとって、重大な日。ヨウとのことに決着をつける日だ。
全ては俺の演技力にかかっている。恥ずかしがらず、そして嫌悪感も表に出さず、どれだけ上手くヨウに媚びへつらうことができるか。
できる。俺ならやれる。
講義中もそのことで頭がいっぱいで、内容なんて全然頭に入ってこない。
大丈夫だ、いけると自分に言い聞かせている内に今日の講義は全て終わった。
……今日は会わなかったな、アイツに。
どうせ数時間後に会うのだけど。
大学から家までの帰り道も、帰ってからベッドの上でも、今晩のことに対する不安が頭の中で渦巻いていた。
……しかしだ。接客の時だって碌に笑顔も作れずにいる俺が、アイツの前でニコニコなんてできるのか?
考えれば考えるほど不可能に思えてくる。
普段、日常生活を送っていても表情が乏しいと言われるのに。無理だ。
時計を見ると時刻は5時半。
ヨウとの約束は7時で、場所はアイツと出会った街にある居酒屋。土曜日にLINEが来たのだ。
このまま待ち合わせの時間まで考えていたら、余計悪い思考になりそう。
そう思って、俺は出かける準備をして家を出た。
「あら、今日休みなんですけど?」
「……開けてたじゃないですか。」
「そういう気分だったからね。」
切羽詰まった俺が訪れたのは、灰里さんの元。
この人といると落ち着くし、それに素面でヨウに会うよりも酒が入っている方が少しはマシだと思ったから。
「っていうかまだ開店時間じゃありませーん。ま、暇だからいいけど。」
「…すんません。ありがとうございます。」
「何飲む?」
「カーディナルで。」
灰里さんは手際よくカクテルを作っていく。ほんと、サマになるよなこの人。ただの女誑しなのに。
「……カウンターマジックって恐ろしい。」
「何、俺に惚れちゃった?」
「自惚れないでください。」
ひっど、と言いながらグラスを渡してくれる。その流れでとても自然に、俺の顔を覗き込んできた。
「…何かあった?」
「……別に、特に何も。」
「言いたくないならいいけど、顔強ばってるよ。」
お見通し~とかなんとか言って灰里さんは裏に歩いていった。俺、そんなに分かりやすいかな。
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