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「…は……やべ、俺今超幸せ……。」
「………そ、なに…たまって、た……?」
「ああ。もう死にそうなくらい。」
「……ひと、りで…ぬけば、いいのに……。」
ヨウの動きが止まっているから、比較的喋りやすい。
それにしても変な奴だ。自慰というものがあるにも関わらず、我慢するなんて。
「……お前なあ。俺は、荒太としたい欲が溜まってたわけ。」
「…そん、なに…ひとり、いやな…わけ?」
「……あのな。一人が嫌とかそういうんじゃなくて……。」
…一人が嫌…なのか?
ヨウは俺としたい欲、なんて言ってくれたけど、本当にそうなのだろうか。
誰でも良かったんじゃないのか…なんて思ってしまう。
だって、そうだろ?俺たちは今、身体だけの関係で……。
ヨウには、他にもそういう、所謂セフレってやつがいるかもしれない。
……俺には、ヨウだけだけど。
「だって俺達、付き合って初めてしたじゃん。」
………………え?
「好きって言ってくれた時、本当は滅茶苦茶にしてやりたかったけど、荒太風邪引いてるし……。」
…ちょっと待ってくれ。着いていけない。
「照れてんのかなんなのか知らないけど、その次の日から荒太のツンデレ度増してるし…。」
だから……!!
「こうして荒太と繋がってることが、すげぇうれ………。」
「だから俺とお前がいつ付き合ったよ…?!」
「…………………」
あ、違う…!間違えた、別にこんな言い方するつもりじゃなかったんだ…!
沈黙が俺の身体に痛いほど染みる。
「……なぁ、それ本気で言ってる?それとも、ツンデレのツン極めすぎた感じ?」
「…いや、これはその……違くて………。」
「…じゃあ何?」
「…いや、違うわけでも、無いっていうか……。」
「………俺のことからかってる?」
やばいやばいやばい。だんだんとヨウの声が冷たくなっていく。
不機嫌になっていってるのが顔を見なくても分かる。っていうか今顔見れない。怖い。
「ちがっ…!」
「…違うって、何がどう違うの?結局、俺だけ荒太のこと好きだったわけ。」
違う。違う違う違う違う。俺だってヨウのこと好きだ。大好きだ。
むしろ俺の方が、好きなのに。
色が無くなっていくその顔は、まるでヨウの俺に対する心みたいだ。どんどん、どんどん、冷めていく。
「…っその…ちがう…ヨウ、嫌いにならないで……!!」
「…………ちゃんと、説明。」
「……えと…だから、俺…すきって、言ったけど……ヨウも、すきって、言ってくれたけど……。」
上手く言葉が出てこない。ノロノロと喋り続ける俺を、ヨウはじっと見つめている。
「…俺ら、男同士、だし……その、普通の男女みたいに…付き合う、って…なるのかなって……。」
「………うん。」
「俺は、ヨウのこと…凄く好き、だけど…ヨウは、俺に好きって、言ったこと……後悔してたりしないかな、とか……。俺らの関係……聞いてみたかった、けど………おれっ…ヨウに、拒否されるのだけは…凄く怖くて……それなら、まだ、友達の方がいいや、って…思っ………!!」
必死で紡いだ言葉の最後は、ヨウの口に飲み込まれた。
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