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「…椎葉君って、無自覚なんだね。」
「…?何がだよ。」
「んーん!何でもないよ!…彼女欲しいって思ったりしないの?」
「…興味ない。」
だって俺にはヨウがいるから。ふとヨウの方をチラッと見てみると、楽しそうに会話を続けている。…ムカつく……。
「……そっかぁ。ねえ、今度ご飯でも食べに行こうよ~!」
「……なんで?」
「なんで、って…私、椎葉君ともっと仲良くなりたいの!」
「……はあ。」
勿論断る気だ。なんで今日、ついさっき知り合った奴と飯に行かないといけないんだ。……知り合ってすぐヨウと体を重ねた俺が言うことでもないけど。いや、でもあれは不可抗力だ。
しかし、なんとなく、一応ヨウを見て確認してみる。
美優という女が喋っていて、ヨウもそれに相槌を打っている。笑いあっている二人は、誰が見てもカップルだと思うだろう。お似合いの二人に、自分が惨めに感じた。
かたや、ミスコンでも優勝するほどの美人で、よく喋って明るくて、女の子らしい可愛い子。
かたや、目付きが悪く、専ら怖いと言われる、人が苦手な男の俺。
どこを比較したって、俺の方が良いところなんて何一つない。
「……ねえ、聞いてる?」
「…あ、ごめん。何?」
「約束できるように、LINE教えて?」
「…うん。」
一緒に出掛けるつもりなんて一ミリも無いけど、ここで連絡先を教えないのも不自然だ。橘にも失礼だし、返事をしてスマホを取り出した。
俺らもヨウも話が一段落着いたところで、次の講義に向かうために食堂を出る。
俺以外の三人の誰とも講義は被っていなくて、やっと一人になれたことに息を付いた。
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