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俺
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「 __ちゃん、引っ越すってほんと?」
また、この夢。
「やだよ!やだっ__ちゃん、行かないで」
ずっとずっと幼い時、俺には幼馴染が居た。んだと思う。今も時々夢に見る。誰かは分からない。
俺は馬鹿みたいに泣いてて、そいつも泣いてて
「大丈夫 ずっと一緒だから」
また会えるよねと俺が握ったその手は やんわりと離されてそいつは車に乗り込んだ。
名前も顔も思い出せない。
今となっては何故そいつの為にあれ程泣いたのかも分からない。ただ、寂しかった。遠くに行ってしまうのが悲しかった。
優しくて、でもいつも泣きそうなあいつ。
一体誰だったんだろう、知る術もない。
いや 知る術はあるのかもしれないが俺はそれをしなかった。どうしようもないから。
ただそいつを乗せた車を見送る時の切なさや遣る瀬無さが深く根付いてるのだ。
多分俺はその時何か大事なものを失くしてしまったんだと思う。
でもそれも思い出さないようにしてるうちに段々記憶も色褪せた。思い出さないんじゃなくてだんだん思い出せなくなるように。
「学校、怠い」
都内の公立の小学、中学を出た俺はそのまま高校に進学した。何もない、平凡な日々。退屈。
好きなように生きてる、そんな感じ。
「晴、おっはー」
「おー」
だから何ってわけじゃないけど。
俺の世界は俺と、俺以外だ。
今までもこれからも。そう思っていた。
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