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恋バナ
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それから僕はなんとなく気まずくて、ほんの少し晴と距離を置くようになった。それにそうしないと感情をセーブできないことに気付いたから。
「きょーすけ 今日このゲームしようぜーお前の好きなやつの新作出てたんだ!」
「本当!?もちろ…、じゃなくて、ごめん。今日はちょっと」
はっきりせず口籠った僕を晴は特に気にも留めずなんだよー、と拗ねたように言って、じゃあまた今度な、とどこかへ行ってしまった。
晴が教室から居なくなった途端僕らは、例の晴の新しい彼女の話でもちきりだ。聞きたくないのが本音だが気になる自分も居て、できるだけ平静を装い話の輪に入る。
「あの子の猛アプローチらしい」
というのが僕らの見解。毎度の事ながら晴はおモテになるようで。
彼女は学年でも可愛いと人気のの子らしい。僕は特に興味もなく名前すら知らなかったが男子の間では人気の女子生徒だそうだ。
おしとやか、清楚、可憐。
そんな子でもあんなふうに抱き付いてキスしたりするんだ…と僕が軽くカルチャーショックを受けたことはさて置き、話は弾む。
「あいつらどこまでいってんのかな?」
「チューしたのかって聞いたらしてねえよって言われたぞ俺」
クラスメイトの言葉にズキン、と胸が軋む。
「…してたくせに」
「え?どうした井上」
口に出す気なんてさらさらなかった言葉が、低く冷たく僕から発せられた。時折溢れそうになる黒い感情に自分への嫌悪感が募る。
「何でもない何でもない」
慌てて取り繕った笑顔は変じゃないだろうか。
「そうだ井上、お前特に晴と仲いいんだから何か知らねえの?」
「うーん…あんまりそんな話しないから」
結局とりとめのない恋バナは、僕が晴に慣れ初めやあれやこれやを問いただす流れになり、情報を仕入れたらみんなでシェアしようという所に着地した。
気乗りはしないが結局断り切れず、今度聞いてみるよ、と首を縦に振ってしまった。
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