アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
日常に溶け込んで
-
妻に仕事で泊まりになりそうだと嘘の連絡を入れたその日にすぐに関係を持った。
情事後、身支度を整えている彼に投げた言葉。
「付き合おうよ」
「…?それはどういう?」
彼は怪訝そうな顔を一瞬したが綺麗な笑顔を崩さなかった。
「そのままだけど?」
「奥さん居るのに?」
静かな室内。僕の胸は場違いなほどここ最近で1番晴れやかで弾んでいた。非日常はこんなにも楽しいものだったか。
「正確には娘も居るよ。でも君と今夜だけで終わらせたくないんだ」
「それって不倫になりません?」
「そうかもね」
「岬さんって、まともな人かと思ってました」
すんなり認めた私に拍子抜けしたのか彼はふにゃりと表情を崩した。肩から力が抜けたのがわかる。
「君がその相手を好きなままで構わないよ、普段どう過ごしたって君の自由さ。持て余した時間を一緒に過ごそう」
「岬さん」
「なに?」
「僕、いつも寂しいんです」
ここからが私たちの関係の始まりだ。
朝起きて、家族で朝食を囲み、出勤する。
デスクワークを諸々こなしたら、取引先の所へ。
いくつかの会議に出席し退社したら、彼のマンションへ迎えに行く。妻に嘘の連絡をする。娘にお土産を買って帰る。
非日常が私の日常に溶け込んでいったのだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 87