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※擽ったい
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「晴っ、はる、はっ、…る、!」
手繰り寄せるようにその逞しい身体に抱き付いて何度も何度も名前を呼ぶとその人はくすり笑った。
「何回も呼ばなくても俺はここに居るって」
気持ちが溢れて死んでしまいそう。好きだ、好きだ、晴が好きだ、そんな想いを乗せて僕は馬鹿みたいにその人の名前を呼ぶ。
「晴っ、晴…っ、晴っ」
迫り来る快感は甘い。目の前にある顔は余裕そうで悔しいけれど僕はされるがままになって、尚も晴の名前を呼び続けた。
それに応えるように晴に唇を奪われ唾液を奪い合うような口付けが始まる。こんなにも求められて幸せを感じない人などいるだろうか。鼻から上手く息が吸えなくて苦しいけれど口付けを辞めてほしくはない。そんな僕を見兼ねてか晴が唇を離しすぐに滴る糸はまるで僕の名残惜しさをそのまま表しているかのよう。僕はその濡れた唇をじっと見つめた。
「…お前って前も俺の名前よく呼んでたよな、ヤッてるとき」
おもむろに呟いた晴は額と額をこつんと合わせてその綺麗な瞳で僕を見詰めた。ゆっくりとした時間が流れているかのように見えて下ではその結合部が粘着質な音を立てていると思うと逆に卑猥だ。
「んっ …、だって 、っ」
余裕たっぷりの晴に負けじと僕も喘ぎ声を飲み込んでなるべく腹に力を入れた。
「だって何?」
さっきまでゆるゆるとしか動いていなかったのに中を急に抉られる。頭まで電流が走ったかのような刺激に僕は仰け反った。
「んあっ!、深…っ、」
「先に恭介が締めてきたんじゃん、俺不意打ち食らったのかと思ったー」
「ばかっ、違…っ!」
ニヤニヤと悪そうな笑みを浮かべながら晴はぱくりと僕の耳朶を口に含む。ぞくりと震える僕に気を良くしたのか息を吹きかけたり舌を出し入れしたりすれば、話の続きは?と囁いた。
「別に深い意味とか、ない、けど…っ」
「ふうん?」
「ああっ!ちょっとま…っ、て、言うから、…っ」
ベッドのスプリングが鳴いていよいよ壊れてしまうんじゃないかと心配になる。それに加えて泣きじゃくった後の僕の体力が続くかどうかも甚だ心配だ。
「好きって…言う代わりに名前…っ、呼んでた、から」
僕が言った瞬間にぴたりと止まる律動。何か変な事を言ったかと血の気のひく思いがしたけれどそんなのは杞憂だったようだ。
「あーもう!お前可愛すぎ、ほんと何なの」
「ぅ、ちょっ、おっきくしないで…っ!ぁ、」
「無理、お前が悪い」
揺さぶられて中で一つに溶けていくような、そんな幸せ。それを噛み締めながら僕は目を閉じて今までのことを思う。好きだという気持ちを込めて晴の名前を呼んだあの日。会いたいと言いたくてでも言えなくて晴の名前を呼んだあの日。行かないでと言いたくて言えなかったあの日。助けに来て、ともう一度会いたいと祈りを込めて呼んだあの日。今まで何回この名前を口にしたのだろう。
「晴、晴っ、」
「ちゃんと言って…、好きって、思ってくれてるんだろ?」
「…っ、晴、ぅ、すき、すきっ、すき …」
激しいセックスに変わりはないのに晴が僕をあまりにも大事そうに抱き締めてくれるから僕は嬉しくて、なんだか擽ったくて、だから僕はいつまでも涙が止まらない。
「泣くなよ、恭介の泣き顔見るのつらいから」
「…っ、嬉しくて泣いてるの、晴が好きすぎて、涙がでる」
「…もう、やばい、やばいわ俺…っ、俺もお前のこと好きすぎて、」
いつも余裕たっぷりの晴の瞳にうっすらと涙が浮かんでいたのを僕は知ってる。
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