アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
「っつーワケで別に近所付き合いとかする気ねぇから」
閉めようとした扉を勢いよく獅子原の手が掴む。
「なに?」
「それ、もしかして飯?」
しまった。
封を切ろうと思って左手に持ったままのカップラーメンを獅子原が指差す。
「そんなんばっか食ってんの?」
「食えりゃ何でもいいだろ」
どうせ胃の中に入りゃ溶けんだし。
肉も野菜も何もかもドロドロになるんだから。
俺の顔とカップ麺を見比べた獅子原は、数回頷くと手をかけたままだった扉をグッと開ける。
正直、その優男な風貌とは真逆の馬鹿力に驚いた。
「お前さ、ロールキャベツとハンバーグどっちが好き?」
「は?」
「難しい質問じゃないだろ。答えろよ」
難しくはないが意味がわからない質問。
戸惑いながらも「ロールキャベツ」と答えると「わかった」と返される。
「んじゃ、1時間後また来るから待ってろ。間違ってもそんなモン食うんじゃねぇからな」
そんなモン、と獅子原が顎で指したのは、もちろん左手のカップ麺だ。
「なんでお前に命令されなきゃなんねぇの?俺が何食べようとお前には関係ないだろ」
「関係ねぇ………ないこともない」
「意味わかんねぇ」
親でもなけりゃ兄弟でもない。
ただの担任に食べる物まで文句つけられたくない。
10㎝ぐらい高い位置にある獅子原の顔を思い切り睨みつける。
すると目が合った獅子原は真っ黒な瞳を揺らめかせ薄く笑った。
「別に今はわからなくていいよ。それより待ってなかったら俺、ナニするかわかんねぇよ?」
「さっきから何言ってんのお前」
「1時間ぐらいおとなしく待ってろよ。それぐらいお前でも出来るだろ?」
人を小バカにして颯爽と帰って行く獅子原。
もちろん素直に俺が従うわけない。
すでに沸き終わっていたお湯をカップ麺に注ぎ、表記通り5分待ってそれを啜る。
食べ終えた容器をテーブルに置いたままソファーに寝転んだ。
だらだらとスマホでゲームをすること1時間。
また、チャイムが鳴った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 1234