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デニムのポケットからタバコの箱を取り出して1本咥える。ライターはシルバーのジッポ。
人差し指と中指の先の方で軽く挟んで一息。
やべぇ…似合う。
歩がたまに吸ってんの見たことあるけど、リカちゃんのはやべぇ。
カッコいい…じゃなくて色っぽい。
例えば長い指とか、目元にかかる前髪とか。
癖のある黒髪とタバコが合う。
ぼんやりと宙を見上げながら細い紫煙を吐き出す仕草。
吸う時に口元が隠れて、少しして薄い唇が現れる。
ガラス張りの喫煙所の中には色んな人がいる。
でも、その中でリカちゃんだけ違う。
リカちゃんの周りだけ時間が止まってるみたいに見えるんだ。
きっとそれを思ってるのは俺だけじゃない。
みんなの視線が1度リカちゃんにいき、そらした後また戻る。
言葉で表せない独特な雰囲気がリカちゃんにはある。
それを少し羨ましいと思ってしまう。
俺もタバコ吸ってみようかな…でも今さらデビューってのもなぁ。
まず買いに行くのも面倒くさいし。
「お前ね、ガン見し過ぎ」
「うわっ。いつの間に?」
「あんだけ見られてたら落ち着いて吸えないっての」
見てたけど。
確かに見てたけど。
いつの間にか俺の隣に立っていたリカちゃん。
真っすぐに俺を見てニッと笑う。
「そんなにカッコよかった?」
「いや、エロかった」
リカちゃんが固まる。そしてため息をついた。
「本当、お前よくわかんねぇヤツだな。
不真面目なくせに変なとこだけ素直で、すげぇ無愛想なくせに、たまにすげぇ可愛い」
「可愛いって言うな」
「あーハイハイ。さ、ついておいでウサギちゃん」
「あぁ?!」
「兎丸だからウサギだろう。なんなら俺のことはライオンさんって呼ぶ?」
「しばくぞテメェ」
「お前とテメェはお仕置きすんぞウサギ」
言い負かされて悔しくて、俺はリカちゃんのケツを蹴ってやった。
「うちのウサギちゃんは怒りっぽいのがキズだな。 」
蹴られても怒りもせず笑う。
「うっせぇ。うちのとか言ってんじゃねぇ。 」
「ハイハイ。あんま怒ってばっかだと可愛さ半減するぞ。」
「可愛いって言うんじゃねぇ!!」
今度はもっと強く蹴ってやろうと力を込める。けれど、それはリカちゃんに当たることはなく、簡単に止められてしまう。
「悪いけど俺、蹴られる趣味ねぇから。2回目はなし」
その言葉に、俺はリカちゃんがわざと蹴らせてくれてたことを知る。
「今度はもっと考えて仕掛けてね、ウサギちゃん」
リカちゃんのペースに巻き込まれるのは嫌じゃない……だなんて嘘だ。
やっぱりコイツは好きになれない!!!そう思った。
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