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「とにかく俺はもう行くから遅刻すんなよ」
慌ただしく出て行くリカちゃんをパンを齧りながら見送る。
っつーかこの2日間アイツほとんど俺ん家いてんだけど…せっかくの分譲マンション勿体無くね?
布団代ケチるくせにコップやら皿やら参考書やらはホイホイ買う金銭感覚がわかんねぇ。
考えてもわからない事は考えない主義の俺は、そこで思考をストップした。
起こしてもらった上に遅刻したら何を言われるのかわかんねぇし…。
リカちゃんが朝から用意してくれた飯を腹の中に詰め込み、ダラダラと用意して家を出る。
さっきまで一緒に寝てたヤツと学校でまた会うなんて、変な感じがして少し気恥ずかしい気持ちになった。
*
「慧が早く来てる!!しかも寝てもねぇ!」
「……ヤバいな。傘持って来てねぇ」
誰かさんに起こしてもらったおかげで遅刻する事もなく優雅に歩いて登校出来た。
自分のクラスの自分の席に座ってんのに、珍獣でも見るかのように向けられる視線に辟易していたらこれだ。
教室に入り俺を見つけるなり大声で叫ぶ拓海に、かなり失礼なことを平坦な口調で言う歩。
まぁ……2人の気持ちもわからんではない。
俺がまともに登校するのも少なけりゃ、こうやっておとなしく座ってるのなんてほぼ無い。
出席日数確保の為に来たとしても、寝てるかスマホ弄ってるかのどちらかだ。
……だからって1月になってまで担任の顔がわからなかったのは自分でもやり過ぎたと反省はしてる。
っと、そういうのはさて置き、だ。
「なぁ。今日って英語何時間目?」
昨日、口うるさく言われたから予習はバッチリだ。
なんせ担当教師が付きっ切りで教え込んだんだから間違いはない。
「起きてるだけじゃなくて授業も受ける気か?!」
「拓海、本気で殴るぞ」
「うそうそ。英語は3時間目?。1、2時間目はマラソン大会の練習!」
「………………」
仕方ないから英語は出る。が、しかしマラソン大会の練習とやらは絶対に出ない。
とりあえずHR終わったら適当に空き教室探してサボるか……。
「ちなみに練習の担当はリカちゃん先生だっちゃ」
「……………………。」
拓海の語尾にツッコミを入れるのも忘れ、俺はただただ来るんじゃ無かったと猛烈に後悔した。
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