アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
41
-
「慧ー!!俺先に行くわ!」
なんで拓海はこんなにも元気なんだろう。
1時間目から大嫌いなマラソンなんてやらされて、俺はものすごく不機嫌だ。
っつーかマラソンだけが原因じゃない事はわかってる。
鷹野の俺を見る目が気分悪い。
こっちを見ながらわざとらしくリカちゃんに話しかける姿にイライラする。
それにリカちゃんが答えるのもマジで嫌。
「今すぐサボりたい……」
とはいえ走り出してしまったらもうゴールするしかない。
河川敷の一本道をひたすら走るのだから脇道も寄り道も出来やしない。
「………何?」
通り過ぎてくヤツと目が合って、やたら見てきやがるから声をかければ驚いたように去って行く。
マジでなんだよ。俺が何したって言うんだ…。
アレか?俺が不良とか言われてるからか?
これが鷹野なら…と考えて、自分の情けなさに嫌気がさす。
別に俺はアイツなんかになりたくないし、アイツがリカちゃんを好き…だったとしても関係ない。
俺とリカちゃんは隣人で少しの間一緒に飯食って寝てるだけで……俺はリカちゃんを好き、なんかじゃない。
「それなのに何でこんな気分にならなきゃなんねぇんだの」
「何が?」
「こんなんじゃ俺がリカちゃんを………って、はぁ?!」
「ウサギ…お前手抜きし過ぎだろ。なんで先に出たお前が後半組より後ろ走ってんだよ」
いつの間にか俺に並走していたリカちゃんは、みんなの前で見せる先生モードじゃなく見慣れたリカちゃんだ。
「な、なんでテメェがここに?!」
「だからそれ俺のセリフな。念のために最後尾を俺が走るってさっき説明しただろうがよ」
俺としたことが鷹野に絡まれた事に気を取られ聞いてなかった。
「何ちんたら走ってんの。ウサギなんだからトップ目指せよ」
「人の名前で遊ぶな。……っつーかウサギって呼んでいいのかよ?」
さっきまで兎丸って呼んでたくせに、二人になるとウサギと呼ぶ。
狙ってしてんのか……いや、確実にそうだろう。
「こんな後ろの方走ってんの俺とお前ぐらいだ。……ったく、しょうがねぇヤツだな」
『しょうがない』
その言葉にさっき鷹野に言われた事を思い出した。
リカちゃんが俺に構うのは、俺がしょうがないヤツだから?
迷惑かけてるって……そうなんだろうか。
担任だから……見捨てれないから仕方なく俺に構ってる?
これが俺じゃなくてもリカちゃんは同じようにするんだろうか?
同じように意地悪してからかって。お仕置きだって言ってキスなんかして。
リカちゃんが俺以外と……。そう思うと胸が締め付けられるようで苦しくなる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 1234